碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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大相撲名古屋場所の千秋楽で・・・

2012年07月23日 | テレビ・ラジオ・メディア

大相撲名古屋場所の千秋楽、全勝対決を見た。

いや、名古屋に行ったわけじゃなくて、NHKですけど(笑)。


日馬富士と白鵬が、共に14戦全勝。

「千秋楽に14戦全勝の2力士が賜杯を懸けて対戦したのは、1983年秋場所で横綱同士が顔を合わせた隆の里-千代の富士以来で29年ぶり」だそうで。

立ち合い前の仕切りで、日馬富士が見たこともないほど、体を土に近づける前傾姿勢を見せて、場内が一瞬湧いた。

「あ、日馬富士、いけるかも」と思った。

そして、左上手をがっちり取った日馬富士が、白鵬を寄り切って完勝した。

家族と見ていて、全員が、思わず「やったー!!」と歓声。

今回は日馬富士の優勝が正解でしょう(笑)。




で、表彰式。

総理大臣杯の時になって、スーツ姿の、なんだかフツーの男が土俵に上がって来た。

野田総理の代理であることはわかっても、これが誰だかわからない。

場内アナウンスは説明なし。

NHKの中継も、説明、テロップ、一切なし。

で、表彰状を読み上げようとする瞬間、割と静かだった場内に、一人のオジサンの声が響いた。

「なんだあ? お前」。

この「なんだあ」が、まんま名古屋弁で、実にいい味(笑)。

「総理大臣杯を渡そうとしているのは、総理本人じゃないみたいだけど、で、お前は一体、誰なんだ」という、会場とテレビ視聴者の、ちょっとトホホな気分を代弁したような声だったのだ。

いやあ、家族で笑った。

こういうのが、テレビならでは、生中継ならでは、なんだよなあ。

日馬富士の、本当に嬉しそうな表情と、この「なんだあ? お前」が、名古屋場所の記憶となりました。