日刊ゲンダイに連載している「TV見るべきものは!!」。
今週は、フジテレビの月9「リッチマン、プアウーマン」を取り上げました。
御祝儀相場の初回視聴率13.9%、実質参加の視聴者が集まる2回目で11.3%と下がり、今週の第3話が13.1%とアップ。
制作側は、ほっとしているんじゃないかな。
見ている高校生~大学生は、それなりに面白がっているようなので(笑)、しばらくは、これくらいで推移するはずです。
コメディエンヌ・石原さとみの熟成度に注目
現在の大学4年生の就職活動が始まったのは昨年12月。あれから8ヶ月が過ぎて、学生は3つのタイプに分かれてきた。すでに就職先を決めた者、内定は得ているが就活継続中の者、そしてまだ内定が出ていない者だ。
フジテレビ月9ドラマ「リッチマン、プアウーマン」のヒロイン(石原さとみ)は東大理学部生ながら3番目のタイプ。IT企業のカリスマ社長(小栗旬)と出会い、運命が開け始めたところだ。
このドラマにはいくつかの側面がある。資産250億円の富豪青年と女子学生の恋愛ドラマ。慢性的就職氷河期を生きる学生の就活ドラマ。また小栗が率いるITベンチャーをめぐる企業ドラマでもある。
しかし、何と言っても見るべきものは、コメディエンヌ・石原さとみの熟成度だ。
2年前の「霊能力者 小田霧響子の嘘」(テレビ朝日)で見せた“ふっ切れキャラ”に、更なる磨きがかかってきている。特に、追いつめられた“未内定”就活生の焦り、不安、憤りを体現したシーンなど絶品。
実際、面接で落とされまくり、自分の存在自体を否定されたように感じてしまう就活生は多い。来年春からの「居場所」を必死で探す石原の悲惨と滑稽には、十分なリアル感があるのだ。
今後、物語は石原の素性の謎を交えながら進行していく。“魅惑のくちびる”は何を明かすのか。
(日刊ゲンダイ 2012.07.24)