【巨匠・倉本聰の言葉に学ぶ人生のヒント】
最終回
「作る」から「創る」へ
倉本聰の主戦場はテレビドラマであり、書く仕事の中心はシナリオだ。しかし、他に何本もの戯曲があり、膨大な量のエッセイも書いてきた。このエネルギーは、一体どこから来ているのか。
「書くというより、創るということをしてるんだろうね。『創作』という言葉があるじゃないですか。創と作、どちらも〈つくる〉でしょ? でも、意味が違うんですよ。〈作〉の〈つくる〉ってのは、知識と金を使って、前例にならって行うことです。
それに対して、〈創〉のほうの〈つくる〉は、前例にないものを、知識じゃなくて知恵によって生み出すことを指す。この〈創〉の仕事をしてると楽しいわけですよ。
でもビジネスマンは、どうしても〈作〉の仕事が多くなりがちですよね。だから、ストレスが溜まるんだと思う。
〈創〉の仕事というのはね、肉体的にはハードだけど、寝て起きりゃ直る。それに比べて〈作〉ばっかりだと精神的によくありません。仕事は、意識して〈創〉のほうに寄せていくといいんです」(「脚本力」より)
倉本から贈られた色紙には、こう書かれていた。「創るということは遊ぶということ。創るということは狂うということ。創るということは生きるということ」。
脚本家・倉本聰、87歳。遊び(楽しみ)ながら、狂い(熱中し)ながら、これからも創り続けるに違いない。
(日刊ゲンダイ 2022.11.22)