河太郎の読書日記

本とか映画とかいろいろ

楽園

2008-07-15 22:55:35 | 読書(小説)
宮部みゆき、文芸春秋。
「模倣犯」の登場人物が再び。
ルポライター前畑滋子の10年後。
小学生の子どもを亡くした敏子と知り合い、
その子等(ひとし)が残した「へんな絵」の謎を
解くことになり、1枚の絵とある事件の関係を調べ始める。
彼の死後明らかになった事件の絵や、
滋子が深く関わった山荘の関係者しか知り得ない絵があるのだ。
彼は、本当に、不思議な能力があったのか。
人の描きぶりが、時に残酷で、あとがきで作者が茜に謝るくらい。
ただ、敏子や秋津刑事、野本刑事、高橋弁護士や多田くん、
誠子やその友人たち、いい人がたくさん出てくるのが救い。
茜には、救いはない。網川浩一にもなかった。
事実は小説よりも奇なり、というように、
このお話の現実っぽいいやらしさも、現実にはかなわないのだ。
「楽園」という、善悪を越えた地点で、誰もがもつ世界。
ちょっと非現実的な材料を加えて、「お話」として描いている。
コメント
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