河太郎の読書日記

本とか映画とかいろいろ

サラエボの花

2008-01-12 21:51:58 | 映画
オーストリアと、ボスニア・ヘルツェゴビナの合作だった・・・はず。
ボスニア人の母子の物語。
私の映画の好みは、マニアックだが、
どうも、知らない国の、日常が描写されていて、
色的に落ち着いたのが好みらしい。
だから、ハリウッドはあんまりみないのな。
色はもう主観ですから、説明しようがないけど。
で、どこかであらすじを見たんだろうが・・・
覚えてなくて、おおう、と、ちょっと衝撃。
でも、その1テーマだけの作品ではある。
エスマとサラ。
父は殉死したと聞かされていたサラ。だが。
エスマが、男を嫌悪してたり、
ふざけたサラにのしかかられてパニックになったり、
所々に伏線がある。
実は、レイプされて出来た子で・・・という。
ちょうど読んでいた「ヴォイス」も、主人公メマーが
同様の生まれだったが、時代や背景からか、あっさりしていた。
差別されるどころか、後継者として認められていたし。
それはまあ、お話の世界。現実は。
母子は絶望するが、たぶん、回復していく。そんなラスト。
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ヴォイス

2008-01-12 21:29:39 | 読書(小説)
ル・グウィン、河出書房新社。
西のはての年代記第2巻。
世界観のしっかりしたファンタジーは、面白い。
ゲド戦記も、アースシーの世界が面白い。
いろんな国があって、いろんな人種があって、文化もいろいろ。
それを認め合っていくんだ、という意志がある。
そこが、文化人類学者の娘、歴史学者の妻っていうところなのか。
または、少数民族も認めるアメリカらしさというのか。
文字を読まないオルド人に支配されたアンサルの市民たち。
そのなかで、オルド人兵士の犯され生まれた少女メマーは、
「女子ども」の差別を払いのけ(このあたり、ゲド4巻を思い出す)、
道の長の後継者として、文字を覚え、焼き討ちにあった本の残りを守る。
1巻の主人公のオレックとグライが成人して出てくる。
オレックは詩人として、グライはライオン使いとして。
ほんとに「物語」らしいというか、この世界の描きぶりが面白いと思う。
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最後の場所で

2008-01-09 21:21:50 | インポート
チャンネ・リー、新潮クレストブックス。
コリアン・アメリカンの著者が、30代前半に書いたという作品。
韓国人の両親の元に生まれ、日本人夫婦の養子となり、
日本軍として戦争に従事した過去を持つ男。
医療器具を販売していたころ勝ち得た尊敬をあたため、
年老いた今、ひとりアメリカの片田舎に暮らす。
家族はいない。
養女(黒人)は、求められていないと思いつづけ、去った。
恋人(白人)も、後一歩で引いてしまい、去った。そしてもうこの世にいない。
原題は、ジェスチャー・ライフ。体裁の人生。
こつこつ働く。人に気を遣う。でも失敗するのはなぜだ。
従軍していたころに出会った韓国人の従軍慰安婦Kに出会い、
さまざまな体験をしたことも、一つかも知れないが、
育児を放棄した両親から別れ、日本人として育てられたあたりから、
なにかゆがんだのかも知れない。
それより何より、30代の青年が、1老人の心理を、
これほどまでに丁寧に描くのって、どんな心境だよ。
1人の人間の人生が、描かれていないところも含めて、
本当にうまく描かれていると思う。
決して、面白い話ではないし、何度も読みたい話ではないけど。
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前(さきの)巷説百物語

2008-01-03 22:27:21 | 読書(小説)
京極夏彦、角川書店。
シリーズ4作目。
1冊目2冊目は、ふつうに続いて、完結。
したのに、まだ続きが出たら、
明治の代の後日譚。
これまた見事に完結して、
これ以上続かないだろうと思ったら、
「前(さきの)」と来た。
やるな、京極夏彦。
そして、中身も主人公が、若々しい(青い!)又市で、面白い。
あの又市は、こうやってできて、見燈の小兵衛やらおぎんの正体も。
この人ホントに日本語の操りぶりに余裕を感じる。
まあ、最後の話は、ちょっとだけ、オチが読めたけどさ。
まかしょうと、獄門になったはずの男との関係は。もしかしてって。
大晦日に、紅白見ながら、こんなの読んでるってのもどうかねえ。
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