■■経営理念構 連載小説 経営コンサルタント竹根好助の「先見思考経営」 No.72
昼は休みに読むブログ連載小説です。経営コンサルタントとどのようにつきあうと経営者・管理職として、プロ士業として一歩上を目指せるのか、小説を通じて体感してください。
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【本書の読み方】 脚注参照
■7 ビジネスドック体験 5 通算72回 経営理念構
印刷会社であるラッキーの社長である幸と竹根は靖国神社境内を散策しながら、二人が再会した1980年代のことを思い出している。
ラッキー取締役を対象とした取締役研修は、ビジネスドックという竹根が開発した思考ツールを使いながら進められる。まずは、戸惑いの中、ブレインストーミングから始まった。
ブレインストーミングに馴れていない5人は、なかなかアイディアも意見も出てこない。取締役の高齢化も気になる。
【回想2 1980年代】
何気なく、同じことを繰り返した竹根の言葉の重要性を幸はかみしめた。
竹根から、幸に課題が与えられた。経営理念を形にしなければならないというのである。幸には経営理念の構築などということはこれまでに考えたこともない。竹根が、その必要性をわかりやすく話してくれているうちに、幸は経営理念とは企業の羅針盤であることを気づかされた。
――経営理念の必要性はわかったが、ではどのように作ったらよいのだろうか――
幸の気持ちが読めたように、「すぐに、一気に作らなくても、徐々に作っていけばよいのです」、「いきなり経営理念を制定して、額縁に飾るということはどんな経営者にとっても難しいことです」という竹根の言葉にホッとした。ホッとするとともに相手を安心させる竹根の暖かさを感じた。
「まずは、自分がどのような会社にしたいのか、その実現に繋がるキーワードは何か、思いつくままにそれを列挙すればよいでしょう。ビジネスドックの内容をよくかみしめ、それを参考にするのもいいです。いまからそれを始めてください」
大松田が二人を呼びに来た。二人が研修室に戻ると、五人は午前中の部が終わり、昼食になるのだろうと思った。そのとたん五人にドッと疲労感が襲った。
「わが社の理想的な姿がだんだんと明確になってきましたね。次の作業としては、それを短い文章にまとめていただきます。これを短文集約と言います。短文にまとめるのだから簡単ですよね。そして、後ほどそれを発表してもらいます。今、十一時五五分をちょっと回ったところですので、発表は十三時三十分に開始します。それまでに模造紙にそれを清書し、なぜこのような会社が理想的なのかについて、五分ほどで発表してもらいます。短すぎてはいけません。長くても十分以上にはならないようにしてください。食事は、作業予定を加味して適宜取ってくださって結構です。私または荻野のどちらかがロビーにいますので、何かがありましたらそちらまでお願いします」
――昼休みはゆっくり休めるものと思っていたら、これでは昼食と作業の両方を九十分ほどでやらなければならなく、休憩にもならない――
不満のざわめきが起こった。竹根は澄ました顔でいる。
< 次回に続く お楽しみに >
■■ 脚注
本書は、現代情景と階層部分を並行して話が展開する新しい試みをしています。読みづらい部分もあろうかと思いますので、現代情景部分については【現代】と、また過去の回想シーンについては【回想】と表記します。回想シーンも、回想1は1970年代前半にはじめて幸が竹根に会ったときと、回想2は、その十数年後、二度目にあったときの二つの時間帯があります。
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