■■靖国神社の資料館 連載小説 経営コンサルタント竹根好助の「先見思考経営」 No.69
昼は休みに読むブログ連載小説です。経営コンサルタントとどのようにつきあうと経営者・管理職として、プロ士業として一歩上を目指せるのか、小説を通じて体感してください。
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【本書の読み方】 脚注参照
■7 ビジネスドック体験 2 通算69回 靖国神社の資料館
場面は、現代に戻り、印刷会社であるラッキーの社長である幸を靖国神社に連れ出した幸の二人は、境内を散策する。
【現代】
靖国神社の拝殿やその周りは人の数も多いのですが、遊就館本館を右に見て、左に到着殿を見るあたりから人の数は急に少なくなってきた。
その先右手に白い建物が見えてきた。
「あれは靖国偕行文庫です」
「文庫と言うからには、図書館か何かですか?」
「そうです。靖国偕行文庫は、遊就館新館と同様、靖国神社創立百三〇年を記念して建てられ、平成十一年に開館したのです。靖国神社の御祭神に関する資料や日本近代史研究のための資料が約十万冊も収蔵されているそうです」
「御祭神の事跡や近代史を研究したい人にはうってつけですね」
「とにかく、戦史・戦記・部隊史・教程・教範類・英霊の追悼録・回想録等の日本近代軍事史関係資料に特化された蔵書ですからね。閲覧室では、誰でもこの図書を利用できるようになっているようです」
「すごいですね」
「財団法人偕行社から建物と蔵書が奉納され、この名が付けられたようです」(以上、靖国神社公式サイトより作成)
二人は、再び歩き出した。
「偕行社といえば、昔を思い出します。私がアメリカ赴任から帰国し、経営コンサルタントの資格を取ったばかりの時です。新規資格取得者は、三日間の研修を義務づけられていたんです。市ヶ谷駅から五、六分のところにある偕行社ビルの研修室で受けたんです」
「資格を取ってからも、まだ研修があるのですか?」
「そうなんです。昔は厳しかったのですよ」
「なぜ、そのような場所で研修があったのですか?」
「当時専務理事をしていた先生が講師でした。その先生が、戦後退役の時に、陸軍少尉さんだったので、その関係で研修室を借りやすかったのだろうと思います。とにかく、いろいろな質問が矢継ぎ早に出され、その回答に皆四苦八苦でした。同期が十三人いるのですが、その中の一人に慶稲大学のマーケティングの教授で、本も何冊か出している先生もいました。そのような先生でも回答には苦労されていたので、私のような若造は当然です」
「皆さん、いくつくらいの方たちなのですか?」
「私が一番若くて、今一人三十代後半の人がいましたが、それ以外は五、六十代の方ばかりでした。慶稲の教授以外は皆経営コンサルタントを目指す人たちでしたので、真剣そのものでした」
「そうでしょうね」
二人は、時々立ち止まりながら、幸は昔を振り返る竹根の話に耳を貸した。それとともにビジネスドックのことを思い出していた。
< 次回に続く お楽しみに >
■■ 脚注
本書は、現代情景と階層部分を並行して話が展開する新しい試みをしています。読みづらい部分もあろうかと思いますので、現代情景部分については【現代】と、また過去の回想シーンについては【回想】と表記します。回想シーンも、回想1は1970年代前半にはじめて幸が竹根に会ったときと、回想2は、その十数年後、二度目にあったときの二つの時間帯があります。
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