染織工房きはだや 「店主の独り言」

きはだや店主が今日の出来事を語る。喚く。話す。切る。
でも日記は苦手。
皆様の気軽なコメントをお待ちしています。

つゆのあとさき

2013年08月02日 | 店主の一日
今年の東京は随分、早く梅雨が空けましたが新潟県はまだです。
8月にもなったし、そろそろ梅雨明けかと思ったりもしますが、まだ少し雨っぽいです。まあ、過ごしやすくていいのですが。
先日、この季節にはちょうどいいかと思い、永井荷風の「つゆのあとさき」を読んでみました。
とても凝ったタイトルの様に感じました。
既にお読みの方もいらっしゃると思いますが、まあ割と俗っぽい本です。
今様にいえばと東京での華やかな生活にあこがれて地方から出てきた女の子が華やかで稼ぎもいいからキャバクラに勤めて云々。みたいな風でしょうか。
それでも落ち着いた表現や人物の対比などは最近の小説とひと味違った味わいがあります。
また神楽坂から四谷に至る辺りは馴染みの深い場所でもあり、文中に知った地名が出てくるとそこを歩く文士風の人や夜遊びの芸者や女給など、人々の様子を想像したりします。勿論、路面電車もありませんので、小説の様子とは随分違いますが楽しいものです。
タイトルと今の季節に合わせて読んでみたのですが、内容がどう「つゆのあとさき」なのか釈然としません。まあ、小説の最後の方は七月初め頃なのですが。。。。


最後の解説部分を読むと、当初は「夏の草」であり十月に雑誌に発表された時に「つゆのあとさき」になったようです。
梅雨の頃に執筆したのでその名になったようです。「なんだい、タイトルと内容は関連がないのか」ちょっと肩すかしを食らった感じです。

昨日、昼から上越に車で行きました。途中の山道で一時間あたり100mmを越える激しい雨に見舞われました。遠くの晴れ間を見ながら豪雨の中を運転していると、遠くの光や大粒の雨の音が「つゆのあとさき」の読後感にぴたりと来るような気がしました。
長く継がれる本と言うのは多くの人の様々な感情に訴えかけるのかも知れません。
コメント
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