ラフカディオ・ハーンの「日本の面影」の好きな文章がある。

来日したハーンにイギリス人の教授は日本の第一印象を早く書き留めるように勧めます。
第一印象は薄れやすく、一度薄れてしまうと戻ってこない。この先にどんなに心を動かされても、その感動は第一印象には敵わないと。
コルカタに着いたのは深夜だった。ただ混雑してけたたましい空港の空気は何か感じ取ろうとする力を完全に奪い取っていた。
コルカタを見たのはその翌日から。
街を行き交う色とりどりの美しいサリー。プリミティブな生活。喧騒。山になったゴミ。
耳と目から入ってくる情報の全てに強く感情を揺さぶられた。
三日目の朝、散歩をして少しづつこの喧騒に慣れてきているのを感じる。
ハーンが言われたようにあの鮮烈な感情はもう次第に薄れていって、もう戻らないのかもしれません。
