2020年03月09日
リポート:北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[ロシア抱卵スケトウダラ操業へコロナウイルスの深刻な影響]
ロシアのスケトウダラ漁業は、洋上でH&G(ドレス)を生産、中国へ輸出、同国陸上加工場がそれを原料にフィレ製品を生産、ヨーロッパ市場へ再輸出することを主流に成立している。
現在、ロシア漁船団はオホーツク海で抱卵スケトウダラを堅調に増産しているが、コロナウイルス拡散防止対策により、操業継続への危機感が高まっている。
中国に向けた当該操業運搬船が、製品陸揚げ出来ず、“アイドリング”が続く等、遅れ、混乱状態等が続いている。
ロシア漁業庁は、中国ばかりでなく、韓国に寄港した運搬船について、衛生、疫学対策のため、ロシアの港への入港を勧告しているが、業界はこれに従っていない。
ロシアの港への寄港は衛生検査ばかりでなく、追加的通関手続きも発生し、通過時間が更に長くなり漁業効率が著しく低下することをその理由としている。
中国の水産加工場は、5月まで本格稼働は見込めないと英国業界紙(WEB)が、先に報じている。
中国の加工場は通常、春節の休暇終了後、従業員復帰等のため3週間-4週間の訓練期間が必要であり、1ケ月半後に本格稼働が可能となる。
これらの状況を考えた時、中国の水産加工場のフル稼働は労働節(2020年は5月1日-5月5日)の連休後になると見られている。
ロシアの抱卵スケトウダラ操業には、操業継続を危惧するまでの情報もあり、現在、極度のテンションがかかっていると言える。