2020年09月24日
北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[アレッグ・カン創業のカニ事業企業 ソブチャク資産獲得契約 ついに破棄へ]
極東の“カニ王”と称されたアレッグ・カンが創業した、モネロン、クリリスキー・ユニヴァサリヌイ・コンプレクスの株式の50%を獲得しようとした、元大統領候補・女優でテレビ番組のキャスターを務めるなど、マルチな成功者となったクセーナ・ソブチャクと、国営石油会社ロスネフチの元副代表イーゴリ・ソグラエフの妻エレーナの買収契約がついに破棄されたことが分かった。
この2社の昨年2019年のカニの漁獲割当はロシア全体の2割相当となる1万9,000トンで、売上は170億ルーブル、利益は96億ルーブルと見積もられている。
脱税と同業他者の殺害に関与した疑いで逮捕指名がされているアレッグ・カンが創業した、モネロン、クリリスキー・ユニヴァサリヌイ・コンプレクス等の漁船、非住宅施設、アパート、自動車等の資産の移転登記を、サハリン州税務局監察が、拒み、再び凍結状態になっていることが、先に、明らかになっていた。
理由は、2社のやはり脱税容疑とされている。
2020年3月、クセーナ・ソブチャクが、これら企業の株式の40%、ソグラエフの妻エレーナが10%、それぞれ買収する契約がおこなわれたが、その直後の同月、ユジノサハリンスク市裁判所が、資産の押収保管手続きをとり、当該財産権移転の登録の保留状態が同年7月中旬まで続いた。
同年7月16日付でようやくこれが解除になり、財産権移転登録が可能になったと伝えられたが、同年8月、再び、当該措置がとられ、手続きが頓挫していることが伝えられていた。
アレッグ・カンには2014年から2015年、カニを輸出する際、製品価値を過小評価し脱税した疑いがかけられている。
製品はパナマの会社への通関価格で輸出申告されたが、実際には、はるかに高い価格で日本の企業へ輸出され、ロシア国家の損害は2億1,300万ルーブルと見積もられている。
また、アレッグ・カンには、2010年にウラヂオストクで殺害された同業他者ワレリイ・プヒデンコ事件への関与の疑いがかけられている。
アレッグ・カンは、1967年ネヴェリスク生まれで、同地の合弁企業ワッカナイを振出に、カニ漁業にかかわり、極東の“カニ王”と呼ばれるまでになった。
さらに、ウラヂオストクの大型商業施設を所有する実業家になったものの、かかる状況下、現在、自身は海外に滞在しているとされている。