千島有償金払えず 道機船連 対ロ制裁で一部
2022/04/02 05:00 北海道新聞
道内の沖合底引き網漁船の船主でつくる北海道機船漁業協同組合連合会(道機船連)は1日、ウクライナ侵攻を続けるロシアへの金融制裁の影響で、3月末を期限とする日ロの地先沖合漁業協定に基づく有償入漁の見返り金の一部を払えなかったことを明らかにした。
同協定による2022年の操業条件は日ロ漁業委員会で21年12月に合意。有償枠は総漁獲割当量694トン、見返り金2694万円。対象水域は千島(太平洋側南部)で道内の沖底船がマダラ、カレイ、スケソウダラなどを漁獲する。
道機船連によると、見返り金の支払いは1年分を3回に分け、3月末期限の額は1千万円弱。これまでは、道機船連の国内取引銀行の口座から国際決済機能を持つ別の国内銀行を通しロシア中央銀行の政府口座へ円建てで送金してきた。
日米欧はロシア7銀行を「国際銀行間通信協会(SWIFT)」から排除するなど経済制裁を科しており、道機船連は取引銀行から「金融制裁の影響で送金できない」との連絡を受けたという。道機船連の原口聖二常務は「漁業者から見返り金は集まっている。問題が解決し、漁業委員会の決定通り支払える環境に早期に戻るよう期待する」と話す。
沖底船はこの数年、魚群の状況などから有償水域に入っていないが、重要な漁場と位置づけている。(森川純)