2023年02月03日
北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二
[ポスト英国EU離脱 アイルランド 2030年までに漁業離職者1,200人以上]
英国のEU離脱の影響により、アイルランドのサバ、ブルーホワイティング、そしてニシン操業のセグメントで、2030年までに1,200人の失業、離職者が発生し、地域経済の損失は8億ユーロに達すると見積もられている。
アイルランド漁業者は2021年-2023年の3年間で、サバ等の漁獲割当を3万7,500トン失うことになった。
この喪失は、英国EU離脱にかかるEU・英国貿易協力協定で合意された結果であり、EU加盟国が特定の漁業権を放棄しなければならなくなった。
英国がEUを離脱し、EUの共通漁業政策において漁獲割当を大幅に失ったアイルランドは、補償金8,000万ユーロ(7,980万ドル)の減船事業を行うこととなり、予定どおり、現有沖合漁船勢力の1/3の自主廃業申請があったと昨年2022年12月に伝えられている。
減船計画は、総船舶トン数8,000トン、総出力21,000kwで、トンあたり漁業者に1万2,000ユーロ(1万1,968ドル)、乗組員に各々5万ユーロ(4万9,868ドル)が支払われる。
現有沖合漁船約180隻の内、約60隻が自主減船を申請したとされている。
EU加盟国は、英国のEU離脱により、これまでの英国海域での漁獲量の25%(金額ベース)を譲渡することになった。
これらの英国への漁獲割当の譲渡は、2021年から開始されており、2026年半ばまで実行される。
譲渡は、2021年に60%、2022年に70%、2023年に80%、2024年に92%と段階的で、2025年の終わりにこのプロセスを100%完了することになる。
非TAC魚種については、2012年から2016年の間に記録された平均漁獲量をベースに、2026年半ばまでに制限されることになっている。
英国に渡る漁獲割当の国別負担は、アイルランドが40%で、EU諸国が60%とされている。
このことからアイルランドは英国とEUの貿易協力協定がアイルランド漁業に不当な負担をかけていると抗議を続けていた。