2023年02月26日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[ウクライナが漁業分野を含めアゾフ海におけるロシアとのすべての協力合意を破棄]
ヴェルホフナ・ラダ(ウクライナ最高議会) は、アゾフ海とケルチ海峡の使用にかかるロシアとの協力合意を破棄することを決議した。
ウクライナ国会議員ヤロスラフ・ジェレズニャクは、2023年2月24日、提出された法案“アゾフ海とケルチ海峡の使用協力に関するロシアとウクライナの合意の破棄”に、ヴェルホフナ・ラダの303人の国会議員が賛成票を投じ、これが可決されたとSNS“テレグラム”に投稿した。
ロシアとウクライナによる当該協定は2003年に調印された。
この協定は、ロシアとウクライナの船舶の移動の自由、漁業分野と海洋環境保護に関する協力、水路支援の共同規制等も盛り込まれていた。
ケルチ海峡では、2018年11月25日にアゾフ海のマリウポリ港に向かうために黒海からケルチ海峡の通過を試みたウクライナ海軍艦艇3隻に対し、ロシアFSB国境警備隊が発砲し拿捕する事件が起きた。
ウクライナ紛争中にロシアが公然とウクライナと交戦したのは初めてのこととなった。
2014年、ロシアはクリミア半島を併合し、その後、ケルチ海峡を渡るクリミア大橋(2022年10月爆破事件発生)を建設した。
2003年の条約下、ケルチ海峡とアゾフ海は、両国の共有領海であり、自由にアクセスできるようになっていた。
一方、ロシアは、2003年の条約は法的に有効なままとした上、ウクライナの船舶は、海洋条約の法律で規定されているように、国境を越える航行の際は、クリミア半島沿岸沖合のロシア海域に入る前に許可を求めなければならないと主張していた。