昨日というか、むしろ今日ですね、ちょっと嬉しい驚きがありました。
「日本の古本屋」という日本全国の多数の古本屋さんが加入しているネットワーク・ショップがあります。ご存知の方も多いかと思います。私が最初に利用したのは2015年の夏の一時帰国中でした。『田辺元全集』(筑摩書房、全十五巻)を購入しました。それを東京の滞在先である実家に送ってもらい、そこからフランスへと自費で発送しました。
その最初の注文からつい先日の最新の注文まで、四十四件注文しています。どの古本屋さんもとても良心的な価格で良書を出品してくれました。同じ本がアマゾンに出品されていることもよくありますが、概して「日本の古本屋」のほうがより安い値段で出品されていますし、出品者である古書店の対応も迅速です。
ただ、海外に住む者にとっての難点は、海外発送を受け付けてくれる古本屋さんが少ないということです。そこで、一時帰国中に注文して自分でフランスに発送する、実家宛に発送してもらっておいて一時帰国の復路で持ち帰る、東京の家族に頼んでフランスに送ってもらうなどの手段を講じてきました。嬉しいことに、最近は以前より海外発送を受け付けてくれる古本屋さんが増えてきているようです。
最新の注文は、保苅瑞穂氏の『モンテーニュの書斎 『エセー』を読む』(講談社、2017年)でした。4月26日に注文し、翌日には発送準備完了の通知が古書店からありました。その通知の中に、「比較的安価で所要日数もそれほど長くない(10日から2週間程度)のSAL便が現時点で利用できないので、送料がもっとも安い船便で送るつもりですが、お急ぎならEMSを指定してください」と添え書きがありました。急ぎではないから送料が船便の四倍もするEMSを使うまでもないと、船便で送ってもらうことにしました。何のトラブルがなくても、船便だと一ヶ月はかかりますから、速くても届くは五月末だと思っていました。
昨日夕方、大学から帰宅すると、郵便受けに郵便配達の不在通知が入っていました。その通知に小包の注文番号が手書きで記されていて、その番号の末尾が「JP」となっていました。これは日本からの郵送物であることを意味しています。先週日本の古本屋に注文した本が届くはずはないし、その他には日本からの郵便物を受け取る予定もなかったので、いったい何だろうと首をかしげました。その通知には二日後の六日から最寄りの郵便局で受け取り可能と記されていました。
今日の午後、郵便受けを開けてみると、小包が一つ入っていました。番号を確認すると、昨日受け取った不在通知のそれと一致します。「えっ、まさか」と半信半疑で小包を開けてみると、丁寧に梱包された注文書籍が出てきました。
これはどうしたことでしょう。発送した古書店が船便で送ると知らせてきたのに、実際は航空便で届いたのです。しかも、送料は船便のそれなのです。これは嬉しい驚きでした。
それどころか、現在紙版が版元品切れ中の同書の新品同様の初版の美品が入手できたのです。注文した古書店には直ちに感謝の一言を添えて受領通知を送信しました。日仏の郵便局にもこの場を借りて感謝いたします。