
新月
遠くに住まう友達が
コロナで入院
まあ写真は元気そう
休憩中
ラインを何通も送る
あーあ
忍び武士と残業
定休日前の八百屋は激安だけど
もう閉店しているので
きっと安いだろう
バナナをあきらめる
そして
スーパーに食材買い
いかん
半額はいかん
夜のスーパーには
魔物が住んでいる
にぎり寿司が半額
二つ買うでしょ人間だもの
コロッケ半額
唐揚げ半額
かき揚げ半額
かうでしょ人間ならば
ああ
おいしい
と帰ってから
呟く
いかん
夜のスーパーには
半額というシールが
光って見える
それは後光の如くわたしを照らし
買って食べたあと
その半額マークが
魔物だったことに至るのだ
そんなことを
やはり魔物に負けた
安井さんと少し前も
話していたよな
今度会ったら
また言おう
夜のスーパーには
魔物が住んでいる
と
「半額ってダメっすよね。今日はこれだけにして、あとは明日食べようと思っていても、
その日に食っちまいますもんねえ。半額ってダメっすね」
「……」
「小久保さん、行かないことっすね」
安井さんは言うけれど
「行きますもんね。食べますもんね」
「……」
ああ。
ああ。。。。