宿泊や商業施設など誰でも利用できる場所にある電気自動車(EV)の充電器が、2020年度末時点で前年度比3・6%減の2万9233基と、記録のある2012年度以降で初めて減少したことが7月3日、地図大手ゼンリンの調査で分かった。
採算が合わず、設置契約の満期に伴い撤去するケースが多かった。
2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度比で46%削減する政府目標達成に向け、充電器整備が課題になる。
和歌山県田辺市は今年3月の契約満期で「道の駅」6ヵ所の充電器計6基の撤去を決めた。
利用回数は多い充電器でも1日平均約1・5回にとどまつていた。
市は設置業者に土地を貸しており、契約を更新したい意向だったが、採算が厳しいとして業者が解約を申し入れた。
政府がEV普及に力を入れているのに撤去するのかという意見が市に寄せられたという。
設置費は1基当たり約930万円で、うち国の補助金で約850万円を賄い、業者は点検費用や電気代を負担していた。
全国の2万9233基のうち、普通充電器は5・0%減の2万1340基、急速充電器が0・3%増の7893基だった。
個人宅や、米EV大手テスラなど特定車種だけで利用できる充電器は含んでいない。
背理充電器は個人宅や商業施設、急速充電器は顧客の滞在時間が短い高速道路のサービスエリア(SA)やコンビニエンスストアの設置にそれぞれ適している。
充電器の設置や運用を手掛ける「イーモビリティパワー」は充電器減少でEV購入意欲が減退しかねないとして、設置費用削減など対策を進める。
「普通充電器は充電に時間がかかり、利用が伸びず採算が取れないのが原因の一つではないか」とも分析し、高速道路を中心に急速充電器を今後増やす。
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