駅などの拠点を中心とした一体的なバリアフリー化計画を定めた「基本構想」を作成済みの市区町村が、3月末時点で全体の18%(309団体)にとどまることが7月3日、国土交通省の集計で分かった。
作成は全自治体の努力義務。
ノウハウや予算の不足から町村を中心に遅れが目立つ。
国は東京五輪・パラリンピックに向け取り組みを進めてきたが、地方への浸透は道半ばだ。
基本構想は、人口が多い地域や利用者の多い駅周辺などを「重点整備地区」に設定。
地区全体で段差解消やエレベーター整備、視覚障害者向け誘導ブロックの設置に向けた
事業方針を定める。国は2000年度以降、策定を促している。
策定率は自治体の規模で大きく異なり、政令指定都市と東京23区、中核市は計101市区の88%で策定済み。
しかし、それ以外の714市では27%にとどまる。
743ある町では3%、183ある村ではゼロだった。
都道府県の差も大きい。
最多は大阪の33自治体。東京30、神奈川17と続く。
一方、青森や石川など9県ではそれぞれ1自治体にとどまる。
政府は2017年にまとめた「ユニバーサルデザイン2020行動計画」で、全国のバリアフリー水準を底上げし、東京五輪のレガシー(遺産)にすると強調。
2018年には構想策定を自治体の努力義務としたが、近年は新規に策定する自治体は年間数件と頭打ちになっている。
国交省によると、調査や計画作りを担う技術系職員がいなかったり、ハード改修のための財源が不足したりして、手が回っていないケースがあるという。
担当者は「多くの人が訪れる観光地などはバリアフリー化が必要。
住民の高齢化も進んでおり、自治体の規模にかかわらず取り組むのが望ましい」と指摘する。
当面、1日2千人以上が利用する駅やバスターミナルがある自治体を対象に、策定完了数を2025年度までに450団体へ増やすことを目指し、地方運輸局を通じて働き掛けていく考えだ。
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