国土交通省や自治体が実施した緊急輸送道路上の橋の耐震化工事について、会計検査院が抽出調査した結果、約6割で優先度が考慮されず、巨大地震時に落下の可能性がある橋が後回しにされるなどの問題があったことが10月23日、分かった。
山口県など6自治体では地震時に落下の恐れがある橋が計354基確認された。
災害で緊急輸送道路上の橋が落ちれば復旧に数力月を要し、被災地まで救助や物資が届かない恐れがある。
検査院は今年1月の能登半島地震直後に道路が寸断した事態も踏まえ、国交省が優先順位の決定方針を作成し、自治体に周知するよう求めた。
検査院は、30自治体と14の国道事務所などを対象に、2021~2022年度に実施した橋の工事を検査。
6自治体で落下の恐れがある橋が確認され、青森県6基、岩手県247基、長野県2基、山ロ県48基、横浜市5基、浜松市46基だった。
また、260基の工事を調べた結果、24自治体と9国道事務所などの計154基で、防災上の優先順位の設定に問題があったと判断した。
落下防止性能が十分ではない橋や、県庁や空港といった重要な防災拠点をつなぐ道路の橋の工事などが後回しになった。
また、約100自治体を対象に防災対策状況を調べると、約1700基の橋で、復旧工事用の資材保管場所や、落下恐れのある橋がどこにあるのかを地図でまとめていないなど不備があった。
国交省は阪神大震災が起きた1995年、緊急度の高い橋の落下防止工事を最優先にするよう自治体などに連絡した。
緊急輸送道路の橋の耐震化率は2022年度末時点で81%にとどまり、全ての耐震化が終わるにはあと数十年かかるとされる。
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