韓国のソウル中央地裁が、日本政府に対し旧日本軍の元従軍慰安婦の女性らへの賠償を命じた1月の判決を巡り、訴訟費用確保のための日本政府資産の差し押さえを認めない決定を出したことが4月20日分かった。
差し押さえは「国際法に違反する恐れがある」との懸念を表明した。
訴訟の原告側弁護士が明りかにした。
賠償履行を目的とした日本政府資産の差し押さえも、同じ理由で認のられない可能性が出てきた。
韓国メディアによると、決定は3月29日付。
訴訟記録を検討した結果、国際法上、外国政府に対する差し押さえの条件を満たしておらず、日本政府資産を差し押さえれば「憲法上の国家安全保障、秩序維持、公共の福祉と相反する結果を招く」と指摘している。
訴訟では、国家は外国の裁判権に服さないとされる国際法上の「主権免除」の原則が認められるかどうかが焦点になった。
1月の判決は慰安婦動員が「反人道的犯罪行為」で主権免除は適用できないと判断し、原告の請求を認めた。
日本政府は同原則を根拠に請求は退けられるべきだと主張しながら訴訟への参加を拒み、控訴もしなかったため判決は確定した。
決定は判決に関与しなかった裁判官が出したという。
主権免除原則を含む国際法の扱いを巡り1月の判決とは対照的な判断を示し、韓国の裁判所の中でも見解が割れていることが明らかになった。
決定では、1965年の日韓請求権協定の存在や、2015年の慰安婦問題を巡る日韓合意で日本政府が拠出した10億円の一部を元慰安婦らが受け取ったことを、差し押さえを回避する理由に挙げた。
原告側は、敗訴した日本政府が賠償に応じないため、韓国内にある差し押さえ可能な日本政府の資産を探すため財産の開示を求める手続きを申し立てている。
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