経済産業省などが再生可能エネルギーで発電した大量の電気を首都圏や関西の消費地に送る環境を整えるため、国内最大の海底ケーブルの敷設によって送電網の増強を検討していることが4月21日、分かった。
北海道と関東を結ぶルートや、九州と中国・四国を結ぶルートが有力。
政府は2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロとする目標を掲げており、再生エネの飛躍的な拡大によって実現を目指す。
経産省が検討を開始し、全国の電力供給を調整する、電力広域的運営推進機関(広域機関)が今年3月、検討案を取りまとめた。
政府は洋上風力発電を再生エネの将来の要と位置付けている。
北海道や九州の沿岸部は安定して風が吹く適地が多く、都市部まで送電できるようにする。
北海道から関東のルートは容量800万~1200万キロワットと、現在の北海道と本州を結ぶ送電線90万キロワットの約10倍となり、送電線としては国内最大の容量の海底ケーブルを検討する。
ルートは太平洋側か日本海側を通って関東までつないだり、東北を経由したりする複数の案を考える。
ルートによっては距離は千キロ近くになるとみられる。
国内の海底ケーブルは数十キロを結ぶ2ヵ所しかなく、最長となる。
一般の送電線で使われる交流よりも送電による損失が少ない、直流によって電気を送る。
九州から関西までは、九州と中国を結ぶ海底ケーブル(容量140万~280万キロワット)や、九州と四国を結ぶ海底ケーブル(容量70万~280万キロワット)の新設を考える。
東日本と西日本の境界をつなぐ送電設備も増強する。
大手電力はこれまで、自社の原発や大型火力発電所と管轄地域内の消費地を結ぶことを主眼に置いて送電網をつくつてきた。
管轄地域を互いにつなぐ送電設備の容量が小さいことも重なり、消費地から遠い再生工ネの事業化を妨げる要因と指摘されていた。
検討中の海底ケーブルはいずれも管轄地域をつないだり、またいだりしている。
完成すれば送電網の姿が変貌を遂げることになる。
送電網の増強には多額の建設費が必要となる。
広域機関はできるだけ費用を抑える考えだが、海底ケーブルは1キロ当たり1億~1億8千万円程度とされる。
北海道と関東を結ぶと少なくとも数千億円規模の建設費が必要で、電気料金の上昇につながる可能性がある。
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