祐天寺にある某社に取材が決まった時、帰りに必ず「ばん」に寄ろうと思った。
「ばん」を知ったのは、ブルータスで東出昌大さんが、「よく行く店」と語っていたから。今でも来るのかな、東出さん。
16時過ぎにお店に着くと、既に店内は賑やかで。体温チェックの後、カウンターに着席した。カウンターにはゆで卵とぬか漬けが置いてある。
これは一体?
店のお兄さんがすぐさま尋ねてきた。
「お飲みものは?」
決めていた。「レモンサワー」。
すると、レモンが丸ごと一つと炭酸が出てきた。ちょっと想定外。そう、スクイズは突然やってくる。スクイーザーで、レモンを搾り、ジョッキに投入。ゆで卵を剥きながらちびちびと飲む。
「うまい」。
さて、これから何を頼もうか。頭上のメニューを見てるとワクワクする。この高級住宅街に、何故こんなに安価なもつ焼き屋があるのかと、とにかく不思議で仕方ない。
「マカロニ」(280円)と、「ハラミ」2本に「チキンボール」(各100円)、「レバー」をタレで。
「コブ刺し」とあるのは、コブクロのことかな。なら、それも追加しよう。
カウンター越しに厨房の向こう側を眺めると、おや?席のないスペース部屋が見える。もしかしてここには立ち飲みスペースもあるのか。
「マカロニ」はおいしいし、もつ焼きもいい。「コブ刺し」もさっぱり味で酒がすすむ。
この立地で、この値段、人もかなり使っていて、人件費だってかかっているはず。一体どういう仕入れをしているのか。
そして何よりも雰囲気が素晴らしい。いい酒場に不可欠なワクワク感がほとばしっている。
「ばん」名物という「レバカツ」(150円)をいただいた。
これがまたバカうまだった。「晩杯屋」と比較しては悪いが、「晩杯屋」の「レバカツ」が、霞んで見えるくらいに味は一目瞭然。下味が違うし、「ばん」の方が断然柔らかい。「晩杯屋」を創業した金子さんは赤羽「いこい」で修行したといわれているが、この「ばん」の要素も加えたのでは。東急線沿線だし、ネーミングも似ている。
あまりのうまさに、「レバカツ」をおかわりした。
近所のおっさんから、ギョーカイっぽい人、シャレオツな若者や女性の一人客まで、いろんな人が思い思いに飲んでいる。どんな人でも気さくに、フランクに受け入れてくれる雰囲気が、この店の信条なのだろう。懐の深さに抱かれながら、気持ちよく飲めるのがいい。
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