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居酒屋さすらい 1104 - 70余年もの時間が安らかに時を刻む - 「PUB こだま」(港区新橋)

2016-12-16 21:52:48 | 居酒屋さすらい ◆東京都内

一部の人を除いて、このブログのことを知人関係に話していない。話しをすることで、ややこしいことになったり、面倒なことになったりするから。

だが、どこをどう調べたのか、このブログに時々登場する N刊自のH部さんが、このブログの存在を知っていた。もっとも、H部さんから教わった酒場の記事を書いていれば、いつかはバレるだろうとも思っていたのだが。

 

この「PUB こだま」もH部さんに連れてきてもらったお店である。

「新橋の歴史がそこにあります」と言われて。

伝説らしい。

「PUB こだま」のママさん。この当時で御年89歳。現在は90歳になっているはずである。

創業昭和22年。まさに戦後の新橋を知る数少ない生き証人である。このあたりは「東京スナックのみある記」に詳述されている。

 

新橋のガード下。

烏森口から南のガード下は、時代が少し逆行する。つい最近まで、このガード下にはポルノ映画館があった。そして、「こだま」である。

「昭和」というキーワードを軽々しく口にしたくない。ただ古臭く、洗練されていないものを「昭和」と呼ぶのは、簡単だ。けれども昭和63年と余日の歴史を紋切り型の言葉で片づけてしまっていいほど、浅はかなものではない。ましてや、この戦後70余年の歴史を持つパブを「昭和」の一言で括っていいわけがない。

とはいえ、ガード下の入口から階段を上がり、重厚なドアを開いて、店に入ると、そのノスタルジックな雰囲気に思わず、アッと息を飲んだ。

高架のアーチ状の天井は恐らく昔のままだろう。長いテーブルがカウンター。そして、いくつかのソファ。

ボクらはそのソファに通され、腰かけた。

 

その後、ボクの記憶は途切れ途切れになる。

お母さんほどの女性が隣に座って、H部さんは仕切りに話をしている。

女性は優しく笑みを湛えながら、頷いて聞いている。

その姿勢にボクはある種の感動を覚えた。

女性の顔が慈愛に満ちていたから。

 

ウィスキーの水割りを何杯か飲んだと思う。

その後、ボクはカラオケまで歌ってしまった。

歌った曲は十八番「みちのく一人旅ではない」。

 

安らぎの空間。

そんな言葉がぴったりだ。

キャバ嬢の機嫌ばかりとるような昨今のウォータービジネス。

けれども、憩いを提供できる店こそが本当の酒場だろう。

 

70余年もの歴史の時間と安らぎが静かに時を刻んでいる。

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