
蔵前橋通りを北側に渡ると、もう秋葉原とは言えない。
エリアとしては、上野圏になる。けれど、まだアキバの余韻を残しているのも確かだ。
「カフェ トリオンプ」も秋葉原チックな要素が、盛りだくさんの喫茶店である。
レトロである。たたずまいがレトロであり、ヨーロッパ的である。ライトグリーンの重厚な扉。その扉を開けると、なんとなく奥からメイドさんが現れるような気がするのは気のせいだろうか。恐る恐るその扉を開けると、モダンな店内が現れ、メイドさんではないが、アキバチックな子が出て来た。
アキバチックとは端的に言えば萌えを意識した子。夕方になると、メイドやセーラー服を着た子が中央通りに並ぶが、その子らと並んでも違和感がない。ただ、コスプレをする子には少し邪悪なオーラを感じるが、この店員さんにはそのオーラを感じない。
店内は気合いが入っていないものの、レトロ調。そこそこの広さがあって、テーブルの数も多い。
メニューを繰って、真っ先に目に飛び込んできたのが、「ピヨちゃんライス」という文字。
得体の知れないメニューである。
「ピヨちゃん」とは何なのだろうか。想像すらつかない。
怖いものみたさで注文してみる。
すると出てきたものがこれである。
オート―ミール。牛乳と溶き卵を混ぜたお粥である。
はじめみたとき、これは失敗作だと思った。
恐る恐る食べてみたが、味付けがぼやっとしていて、味覚が判然としない。完全にお粥である。
恐らく、鳥の出汁をベースに炊いたのだろう。優しい味がする。
だが、やっぱり失敗作だ。
ただ、こいうときの対応は慣れていない。
「おいしくないんですけれど」と言っても、これが「ピヨちゃんライスです」と言われれば、それまでだ。
後で知ったのだが、「ピヨちゃんライス」は元々まかないメニューで、スタッフに受けがよかったからお店で出すことにしたという。その触れ込みは「和風リゾット」。
いや、そうかもしれないが、どうひいき目に見ても、眼前にある料理は失敗作のような気がする。もしかして、この萌え系の子が作ったのかしら。だから、失敗しちゃったとか。
食べながら、ちょっと背筋が冷たくなってきた。まるで、給食を食べられないで、残されている子みたいに。
セットにはデザートとコーヒーがついた。
けれど、もうボクはそれどころではなかった。
それでも、ボクはなんとか完食した。
久々に、大変な思いをして、ご飯を食べた気がする。
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