墓参りに子どもらはついてこなかった。だから、昼飯は気兼ねなく、アジアンエスニックに行くことにした。子どもらはエスニック料理が苦手なのだ。まぁ、パクチーだの、魚醤だの、スパイスとか、普通苦手だと思う。
四谷のアジアンエスニックを検索した。タイ料理の店がヒットするが、結構な距離があった。まぁ仕方ないと歩いてくうちに、別の店を発見した。
ベトナム料理の店だった。
ビルの2階にある店は怪しげだった。廊下も店内も暗かった。エスニックレストランにありがちなパターン。まぁ、歌舞伎町のぼったくりバーじゃないんだから、入ったら一貫の終わりという訳ではないだろう。お店に入った。店内には誰もおらず、小柄な女性が一人いた。
かみさんとは随分ベトナム料理屋に行った。新宿某店。渋谷の「サイゴン」はこないだ通ったら。もうお店はなかった。本郷の「ミュン」などなど(「エスニックさすらい」未収録」。いずれもいいお店だった。
さて、何を頼もうか。
まず、セオリー通りに。
「春巻き」は生を提案したら、「わたしは揚げが好き」だって。そうだったっけ? そして我々定番の「青菜炒め」とサイゴンビールをオーダーした。
ところが、「青菜炒め」は青菜の入荷がないとかで、「作れない」らしく、作戦変更して、「バインセオ」にした。結果的に「バインセオ」は当たりだった。ホーチミンで過ごした2週間、自分は「バインセオ」と「ビアホイ」で暮らした。ベトナムのお好み焼きと言われる「バインセオ」がとにかくうまかった。「ビアホイ」はIリットル80円の自家製ビールで。毎晩飲みに行った。だから、「バインセオ」とベトナムビールを飲むと、ホーチミンの思い出が蘇ってくる。
このお店、かなりうまい。
ビールを飲み干し、ちょっと気になる、ベトナムの酒を発見した。「ネップモイ」というらしい。米の蒸留酒ということだから、ちょっときついのかなと警戒しながら、炭酸割りでいただくことにした。
ところが、予想とは裏腹に、甘かったのだ。それと同時に、以前、新橋の「工藤軒」で飲んだことを思いだした。あの時も確か、峻烈な記憶に残った飲みものだったっけ。
〆はフォーに決めていた。
自分はフォーのセオリー、鶏にしようとしていたが、かみさんは「牛がいい」と言った。「フォー・ボー」である。メニューには、「フォー」とは書いておらず、「きしめん」と表記されていた。いや、無理矢理、日本の何かに当てはめなくていいと思う。むしろ、「きしめん」と書くのはマイナスなんじゃないかと思った。もし、日本語にするなら、「米麺」でいいんじゃないかと思う。
その「フォー・ボー」は予想通り、おいしかった。愛想がない店員さんだったが、一人で厨房に入り対応するワンオペ。でも、丁寧な仕事で絶品のベトナム料理を提供してくれた。
帰り際にかみさんが何かを読んで気がついた。このお店、本郷の「ミュン」と関係があるらしい。
いい仕事するはずだ。
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