昨夏計画した石垣島旅行は波乱に満ちていた。出発2週間前、娘が妖精になった。家族に飛び火しなければいいなと祈るような気持ちで暮らす中、それから1週間後、かみさんの具合が悪くなった。検査の結果、妖精ではないらしい。だが、症状は重かった。そして自分も体調を崩した。結局、石垣島旅行は前日にキャンセルした。キャンセル料を30万円近く支払った。
今回の石垣島はそのリベンジだった。
羽田→石垣直行便で、現地到着は14時。飛行機を降りた時の、ムワッとした湿度の高い空気を浴びる感覚の懐かしさ。旅に出てきたなと思った。
旅が一番難しいのは、現地に着いた初日だと思っている。日常とは異なる雰囲気にのまれてしまい、想定外のことに対応できないのだ。バックパッカー時代に嫌というほど煮え湯を飲まされてきた。例えば、他の町に着いた時、バスや列車から降りると、リキシャーやタクシーだ、バイクタクシーだ、と様々な男どもが声をかけてくる。「どこへ行くんだ」と。うっかり、それに答えると、彼らの術中にハマってしまう。「そのホテルはもうない」とか、「そのホテルは遠いから、このクルマで送ってあげよう」とか。旅に慣れてないときは、そんな彼らに翻弄された。ある時から、初めての町に着いた時は、まずチャイハナに寄り、チャイなどを飲みながら煙草を吸って心を落ち着けることを覚えた。それは旅を続けていくうえでのテクニックのひとつになった。旅に出ると、いつもそんなことを思い出す。
さて、空港から乗り合いバスでホテルに着き、一休みした。夕飯までまだ時間がある。ホテルのコンビニに行って、オリオンビールと泡盛、トロピカルジュースを買い、部屋に戻って家族で乾杯した。
夕飯はホテル近くの居酒屋に行くことにしていた。
「いちばんざぁ」という店で、八重山の郷土料理のお店だという。夕飯の頃合いになり、家族で出掛けてみた。ところが、「予約でいっぱいです」といわれた。全く想定外だった。プランBを考えていなかったから、慌てた。近隣にお店はない。するとかみさんが、「市街に出てみよう」と言う。バスに乗って石垣の繁華街へ。全く予備知識もなく、バスターミナル近くの居酒屋に入ってみた。すると、またしても、「予約でいっぱいです」となった。店内はガラガラなのに。時刻は18時。19時に予約客で埋まるのだろうか。その数年隣に、八重山そばのお店があり、そこに入ってみたが、またしても、「予約でいっぱい」と言われるのである。やはり店内はガラガラ。「予約の人が来るまでには出ますから」といっても、「予約がないと難しいです」という。
これは困った。このままだと夕飯にありつけない。
そこで見つけたのが、「夢乃屋」である。店に入ると数十人の人が並んでいて、「ご案内まで30分程度かかります」という。ここに並ぶ人は我々と同じ夕飯難民の観光客なのだろう。とりあえず、家族を並ばせておいて、自分はもっと早く入れるお店探しに出た。「ユーグレナモール」の近くの店に数軒入ったものの、返ってくる答えは、「予約がないと対応できません」の一点張りだった。途中、飲食店のモールのようなエリアがあり、眺めていたが、幾つかテナントしているお店は全て激混み。中には、立ち飲み屋があり、ちょっと入ってみたい衝動に駆られたが、グッと我慢した。もしかすると、日本最南端、最西端の立ち飲み屋かもしれないと思いながら。
30分近く経って、店を見つけられず、「夢乃屋」へ戻ると、家族はちょうど席に案内されるタイミングだった。とりあえず八重山そばにはありつけそうだった。
「オリオンビール」(500円)に「八重山そば」(680円)、そして「ゴーヤチャンプルー」(780円)をオーダーした。子どもらのドリンクは「マンゴージュース」に「パッションジュース」(各380円)。(肝心の「八重山そば」の画像がない)
待望の「八重山そば」はあちこちと店を歩きまわったおかげでおいしい。かみさんも子どもらも沖縄そばは大好きで、「うまい」を連発していた。
「オリオンビール」はライトでドライだが、うまい。生ビールは現地のものに限る。例えば、タイのシンハービールとか、家で飲んでもちっともうまくないが、バンコクのあの気候で飲むと素晴らしくうまい。ビールは現地のものを飲むべきなのである。
会計時に、レジをうってくれたスタッフの方が、こう言った。
「どこも人手不足でね。コロナでスタッフを解雇して、コロナが回復しつつある今、かつてのスタッフらはもう戻ってきませんから。タクシー会社とか、大変です。飲食もスタッフがいなくて、多くの店は予約客だけでしか対応しません。これからもっと大変になると思います」。
なるほど。人手不足だったか。それで納得。東京にいると、こうした地方の苦境に鈍感だ。コロナは地方をさらに疲弊させたか。
過日、NHKで、こうした観光地の苦境について特集番組が放映され、石垣島、竹富島も事例として挙げられていた。人手不足や観光による弊害を、オーバーツーリズムというらしい。観光客がわんさと訪れるのは嬉しいが、対応できないジレンマが潜んでいる。これは観光に訪れるビジターがその心得を持っていなければ解決はしない。
とりあえず、夕飯にはありつけた。だが、根本的なご飯問題は解決していない。波乱含みの石垣島、どうなることやら。
家族旅行でこれは大変だよね。
ホテルのレストランは問題なかったの?
って続編で出てくるのかな・・・・・。
違う要因で断られているかと思ったり。
ホテルの朝食も厨房の人数が足りないのか、時間がかかることがあった。
今、観光地で起きている船の事故とかって、人手不足のしわ寄せが招いているような気がするんだよね。
ご飯にありつけなくてもコンビニやファストフードに行けばいいけど、遊びで命を落とすのはごめんこうむりたい。
コロナ禍明けたからって、そう簡単には日常は戻らないね。都心の店は戻ってるけど、離島の観光地はもう戻れなかったりして・・・・。
人口は減少しているし。地方は衰退していくよね。
そんな現実を目の当たりにしたような気がする。