息子の誕生日。14歳になった彼を連れ出して、ちょっと豪勢に1日楽しもうかと思い、まずは「豊島園 庭の湯」に向かった。
夏休みの旅行は自分とかみさんの体調不良でキャンセルして、可哀そうだった。自分は土日なく働き、どこにも連れていかず、親として、こりゃだめだなと思った。せめて、何か楽しく1日過ごそうかと、まずはちょっと豪勢なスーパー銭湯に向かったのだ。
この風呂、自分が毎年1年の錆をとりに来るところだが、何故か昨年は行かなかった。会社を辞めたばかりだったし、コロナ禍というのもあっただろう。もうよく覚えていないんだけど、昨年はスキップした。
さて、2年ぶりの「庭の湯」。なんだか、ミストサウナはお休みのようだが、自分はあんまり関係ない。乾式サウナがあればもうそれでいい。
「庭の湯」は小学生以下の入浴を禁止している。息子はセガ低く、顔だちも幼いので、生徒手帳の確認を求められた。実は、前夜息子に生徒手帳を忘れないようにとくぎを刺していたのだが、どうやら忘れたらしい。「忘れた」というと、「西暦で生年月日をおっしゃってください」となった。息子は、「2008年8月15日」といった。これで、確認は済んだわけだが、なんかすっきりしない。いかにも疑われているかのようだったから。ディズニーリゾートだのように「お誕生日おめでとうございます」とまで言わなくても、もう少し気が利いたことはいえないのかなと不満になった。
風呂は比較的空いていた。お盆はいつも空いているのだが、それ以上に人がいなかった。
また、お客さんの年齢層も高くなっていた。見たところ、8割は自分より年上っぽかった。中にはホスト風の金髪の子や、どっかの大学の体育会系若者数名がいたりしたが、概ね爺さんばかり。ただ、そうした爺さんも入浴のマナーを知らない人がいて、体を洗わないまま、いきなり湯船に浸かる輩がいるのには閉口した。また。露天風呂ではでかい声でしゃべる老人2人組がいる。一応、浴場には「黙浴」という注意書きが貼ってあって、遠慮がちにちょっと喋るのは構わないが、馬鹿でかい声は勘弁してほしい。いや、それならまだしも、その老人のうちの一人が足を組みながら、自分の足の指近くの垢をごしごしと手で落としているのを見て、さらに気分が悪くなった。最近、思うのだが、70~75歳くらいの老人、いわゆる団塊の世代の非常識さが目に余る。若い子たちのほうが全然、マナーがいいと思ったりする。そういうのを指摘すると彼らは逆ギレするらしい。多分、経済大国日本を作ってきたのは自分らだ! という自負でもあるのだろうか。でもね、同時にそれは日本を壊してきたということでもあると思う。
自分は、日本で最もたちの悪い奴らが、団塊の世代だと思っている。
さて、真夏に入る風呂は最高だ。
「庭の湯」の湯温は露天が40℃。中の風呂が41℃でややぬるい。これが実に心地よい。
バイブラの泡で体をオーバーホールし、炭酸泉でリラックス。サウナ5分を3セットして、計2時間、しっかりと心身ともに錆を落とせた。
風呂からあがり、クールダウン。
ここで、息子は大胆な行動に出る。食事処のある方向へ足を向けた。その後に自分も続いた。
このエリアは、金をむしりとられそうな場所だったから、これまで足を向けてこなかった。けれど、無料のお茶コーナーなどがあり、新しい世界がそこにあった。お茶を飲むエリアは眼下にプールが見える。このプールは男女関係なく入れるスポットなのだが、ここでも自分の勘違いが露呈した。自分はてっきりプールは追加料金がかかるのとばかり思っていたが、そうではなかった。水着さえ持っていれば、同じ料金で自由に入れるらしい。
「いいなぁ」。
息子がそう言った。
息子は小学校の6年間、水泳クラブに通い、プールが大好きなのだ。
「知らなかったよ」と自分は彼に詫びて、「来年は海パン持ってこようね」となった。
おっさんになると好奇心が摩耗する。その結果、本来受けられるはずのサービスも知らないままやり過ごしてしまうことになる。
歳はとりたくないものだ。
あまりきっちり時間を決めてしまうと、そうならなかった時に困惑したり、混乱したり、激しく落胆したりしてボケを誘発するからという理由で、餌を同じ時間にやらない、散歩の時間をずらす、同じ散歩コースを取らないなどするといいというのがある。
元々がいい加減で更にルーチン嫌いな俺にとっては、言われなくてももうそうしてますからって感じなんだけど、このことは、人間にとっても大切なんじゃないかと思う。
ビデオ再生みたいなルーチンで生きてきた人がそうならなくなった時、ボケるまではなくてもなんかおかしくなるって少なくない気がするし。
大体、じじいになっても好奇心ある方が、トラブルも含めてなんだかんだ起こって楽しそうだしね。
年取っても好奇心ある人もたくさんいる。俺らもそうでありたいね。
いつも出てくる時間に、ごはんが出てこない方が混乱したりしないのかな?I
多分、主体的な状態と受動的な状態とでは、また認知の構造が違うかもね。
好奇心、なくなったなぁ。冒険しないし、する必要も感じないし。まぁ、保守の筆頭だから(苦笑)。
ただ、ルーティンは悪者ではないと思うよ。