時刻はまだ朝の8:30。
大通公園には通勤の人らが目立つ。こんな時間に開いている酒場など皆無だろう。もう少し、街をぶらぶらするか。
大通公園から、少し歩いた距離に「札幌市時計台」がある。どれ、久しぶりに行ってみようか。
8:40なのに、見学する観光客は意外に多い。
「札幌市時計台」、正式名称、「旧札幌農学校演武場」。演武場とは学校の講堂だ。
明治11年(1878年)の建設。1970年に国の重要文化財となる。
建物の周囲を歩くと、例に漏れず、記念碑があった。
どれどれ。鏡面の黒石には、歌の歌詞が刻まれている。
タイトルは「時計台の鐘」。
え? 「ゴールデンカムイ」? じゃねーよな。
作詞作曲、髙階哲夫。詩の内容からして、どうにも違う。
碑に刻まれた詩は「時計台の鐘が鳴る」から始まる。
一方、eastern youthが演奏するアニメ「ゴールデンカムイ」のエンディングは「時計台の鐘が鳴っている」だ。
早速、前者をアップルミュージックで探し、聴いてみる。
同じような出だしだが、両曲は正反対ともいえる内容と曲調である。歌碑の曲は朝が来たことを高らかに歌うポピュラーソングだが、「ゴールデンカムイ」は絶望的な内容をパンキッシュに歌われている。
何故、同じ曲名をつけたのか。
しかも、eastern youthは最後に冒頭の鐘の音を全否定する。曰く、「時計台の鐘は鳴っていなかった」と。
思うに、eastern youthの「時計台の鐘」は、高階哲夫の「時計台の鐘」のアンサーソングだったのではないか。高階曲が陽ならば、フィクションとはいえ「ゴールデンカムイ」は北海道のアングラであり、陰である。
高階の明るさに満ち溢れた詩の世界観は北海道の表層しか照らしていない。eastern youthはそれを否定したかったのではないだろうか。
ただ、「札幌市時計台」を訪れる「ゴールデンカムイ」フリークにとっては、何十年も前にリリースされた高階「時計台の鐘」に「この、まがいもの!」と喝を入れそうではある。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます