「ハイボール」一杯じゃ、当然飲み足りなく、はてどこへ行こうかと、またアーケードの方に向かう気力もなく、とりあえず駅へと向かった。店がなければ地元で飲んでもいいかなと思っていた。ただ、土産を見ようと駅ビルに入り、物色していると、驚くことに立ち飲み屋を見つけた。
純米酒専門店、「KATSU」。
いい感じじゃない。純米酒専門店というのが硬派だ。
さぞかし硬派なおやっさんが店を営っているかと思ったら、気のよさそうなお母さんと若い娘さんがお店を切り盛りしている。
ちょっと意外。
どれどれ、お酒があるのかしら。
店頭の立て看板には、燗酒をおすすめするコピーが書かれ、いかにも玄人受けしそうな感じ。メニューを見ると、誰もが知っている人気の銘柄から、聞いたことのない酒まで幅広く、もちろんご当地群馬の地酒も置いている。ここはもちろん群馬の酒で勝負したい。
おや、「ちょい飲みセット」なりものがある。ビールと酒、つまみで1,100円らしい。ビール2杯でも酒2杯の組み合わせでもいいみたい。
それ、いっとくか。
お酒のメニューにはおすすめの飲み方に加え、お酒のタイプまで丁寧に記載され、お酒選びもなかなか楽しい。群馬の酒は全7種類あるが、そのうち知っているのは「群馬泉」だけ。さて、まずは「群馬泉」からいってみるか。
つまみも酒飲みを唸らすものばかり。お刺身から、「冷奴」、「肉豆腐」、「ぬか漬け」などなど。奴が320円だから、立ち飲みとしては高めの値段設定だが、駅ビルのテナント料がコストを押し上げていると想像する。
では、「ちょい飲みセット」で、まずは「群馬泉」をチョイスし、肴は「ポテトサラダ」を選んだ。自分は必ずポテサラ一択。ポテサラで、そのお店のこと、料理人の本質が大体分かる。業務用は論外だが、オーソドックスなもの、粘りのあるもの、変わり種、盛り方、器、全てがそのお店を映し出す。ポテサラはお店の鏡みたいなものだ。
そして「KATSU」のポテサラは丁寧で可憐で基本に忠実だった。刻み海苔のトッピングが実にいい。粘りはなくドライ。なるべく素材のじゃがいもの味を活かすポテサラだった。確かにマヨネーズ比率が高かったら、お酒には合わないだろう。全てはお酒と酔人への愛だ。そして、小鉢の器と白いぐい呑み。最高のコントラストだ。
「群馬泉」のどっしりとした太い味わいは安定感抜群。これも愛だ。だから、ドライなポテサラが合う。
さて、2杯目は何にしようかと一瞬悩んだが、ここはもう高崎の酒しかないでしょ。「大盃」。優勝力士が飲む、あのバカでかい盃には憧れたことがあった。あれを使って飲むことは恐らく一生ないと思うが、高崎の「大盃」なら、いつでも飲める。庶民的で実にいい。上州の野郎どもがこれを飲み、母ちゃんに敬意を示す姿が目に浮かぶ。
やっぱり愛だな。
優しいお母さんがお店の雰囲気をよくしている感じ。温かいハートウォームな空気に包まれながら飲む酒はやっぱり最高だ。
後で調べると、「食べログ」点数は3.52。正当な評価だと思う。
もう少し飲んでいきたいとも思ったが、これでお開きにするか。新幹線で帰らなくてはいけない。東海道新幹線なら終点まで行くからいいが、東北新幹線の場合、大宮乗り換えなのだ。昔、ついうっかり上野まで行ってしまい、面倒なことになったことがある。
さて、高崎の旅。終わりよければ全てよし。
愛だろ、愛。
あら町のドーミイン近くに「Japanese Bar KATSU」があって数年前まで利用していたのですが。
その系譜かなぁ。
気になりますね。
「高崎 KATSU」と検索すると、ジャンさんのおっしゃる店が出てきますね。日本酒を出すお店で、お店の名前も同じなので、同じグループのお店の確率は高いですね。
ジャンさんのブログで「KATSU」出てきた回、見逃してました。
次回の高崎は、座飲みの「KATSU」に行ってみようと思います。