
もし、貴方がどこかのお店に入ったとしよう。
しかし、予想に反して店が高級であったり、或いはその逆であったり、いやいや店が騒がしいなど、とにかく貴方の気に入らない店であったときに貴方ならどうするか。
椅子にも座らず、踵を返して店を出るか。
「あっ、予定を思い出した」などと言って、回れ右して店を出るのは相当の強者だ。
或いは、「しまったなぁ」と思いながら、とりあえず、席に着き何か注文してから、頃合を計って店を出ようっていう人は少し気が弱い御仁である。
よくあるのが、中が見えない居酒屋に勇気を出して入ったはいいけど、店にはお客がひとりもおらず、店員が暇そうにテレビを見ていて、入店したが最後、出るに出られない、という状況である。
小生も何回かそんな場面に遭遇した。
そして、やっぱりというか、案の定というか、予想通り、少し座ってビール一本くらい飲んでお茶を濁して店を出た。
結局、何も頼まないで店を出るのは至難の技なのである。
いや、下手すると、「ビール一本だけなら可愛そうだから」と妙な同情をして、ついついビール2本頼んじゃったりとか、気が弱いととかく損をするようである。
今回、お邪魔した「佐原屋」さんも「しまった」と思いながら、ビールを2本も頼んでしまったのである。
誤解があるといけないので、はじめに言っておくが、「佐原屋」さんは変な雰囲気を醸しているわけではなく、お客がひとりもいなくて、気まずい雰囲気にあるわけでもない。いや、むしろ素晴らしい雰囲気の酒場だと思う。
長い黒塗りのカウンターにそれぞれ座って小料理を頂きながら、うまいビールを飲む。頭上のJR線の電車が走る音は間断なく響き、人は一杯の酒に安らぎを求める。まさに映画に出てきそうな酒場だ。
しかし、この日は一人でなかったことが仇になった。
わたしは、会社の同僚T根川君とA藤君と3人連れたって店に入ってしまったのだ。
この店は3人のパーティが飲める店ではない。
多くても2人だろう。
なにしろ、カウンターに腰掛けて、話をしようものなら、3人という人数は適当ではない。ましてや、T根川君30歳、A藤君28歳の若造にとって、こうした古い店構えの酒場は 少し窮屈なのだろう。
たちまち、彼らはモジモジしはじめた。
きょろきょろ落ち着かないのはA藤君であり、その話しぶりも心ここにあらず、といった感じだった。
何か、申し訳ない気持ちになって、つい「出ようか」と彼らに促すと、今度は腰があがらない。やはり、一度座った手前、何も注文しないで出るのはかなり厳しい情勢だ。
仕方ないので、瓶ビールを3本頼んだ。
サッポロの黒ラベル。
グラスに注いで乾杯して飲んだが、イマイチおいしく感じない。やはり、そわそわしているとビールというのはおいしくないのかもしれない。
つまみは「ミミガー」。
しかし、普段は瓶ビール一本などアッと言う間に飲み干してしまうのだが、この日の瓶ビールは飲んでも飲んでもなかなか減らなかった。
3人とも無言でビールあおっている。
傍からみたら、それはそれはおかしな光景であったろう。
果てしなく長い時間が過ぎた。
我々はようやく瓶ビールを飲み干し、腰をあげた。
1920円。
落ち着きなく飲んだせいか、その対価は非常に高い!と感じた。
一人で来たら、絶対にいい店。
今度は絶対一人で来よう。
さて、飲みなおすために我々が次に訪れた店は「立ち呑み処 いこい」(居酒屋放浪記NO.0101)。今回は2階にあがって、座りのみを堪能した。相変わらず、ここの串揚げは おいしく、そして酎ハイとの相性もばっちり。しかし、初めて行ったときの素晴らしさは微塵も感じなかった。もし、この日「いこい」を訪れていなかったら、この店は昨年の居酒屋アワードの立ち飲み部門を制していたはずである。
結局、居酒屋は一度行ったきりでは分からないものなのだ。
何度か行って、初めて本物なんだろう。
この日、我々は「いこい」で1万4000円余りのお勘定を払った。
しかし、予想に反して店が高級であったり、或いはその逆であったり、いやいや店が騒がしいなど、とにかく貴方の気に入らない店であったときに貴方ならどうするか。
椅子にも座らず、踵を返して店を出るか。
「あっ、予定を思い出した」などと言って、回れ右して店を出るのは相当の強者だ。
或いは、「しまったなぁ」と思いながら、とりあえず、席に着き何か注文してから、頃合を計って店を出ようっていう人は少し気が弱い御仁である。
よくあるのが、中が見えない居酒屋に勇気を出して入ったはいいけど、店にはお客がひとりもおらず、店員が暇そうにテレビを見ていて、入店したが最後、出るに出られない、という状況である。
小生も何回かそんな場面に遭遇した。
そして、やっぱりというか、案の定というか、予想通り、少し座ってビール一本くらい飲んでお茶を濁して店を出た。
結局、何も頼まないで店を出るのは至難の技なのである。
いや、下手すると、「ビール一本だけなら可愛そうだから」と妙な同情をして、ついついビール2本頼んじゃったりとか、気が弱いととかく損をするようである。
今回、お邪魔した「佐原屋」さんも「しまった」と思いながら、ビールを2本も頼んでしまったのである。
誤解があるといけないので、はじめに言っておくが、「佐原屋」さんは変な雰囲気を醸しているわけではなく、お客がひとりもいなくて、気まずい雰囲気にあるわけでもない。いや、むしろ素晴らしい雰囲気の酒場だと思う。
長い黒塗りのカウンターにそれぞれ座って小料理を頂きながら、うまいビールを飲む。頭上のJR線の電車が走る音は間断なく響き、人は一杯の酒に安らぎを求める。まさに映画に出てきそうな酒場だ。
しかし、この日は一人でなかったことが仇になった。
わたしは、会社の同僚T根川君とA藤君と3人連れたって店に入ってしまったのだ。
この店は3人のパーティが飲める店ではない。
多くても2人だろう。
なにしろ、カウンターに腰掛けて、話をしようものなら、3人という人数は適当ではない。ましてや、T根川君30歳、A藤君28歳の若造にとって、こうした古い店構えの酒場は 少し窮屈なのだろう。
たちまち、彼らはモジモジしはじめた。
きょろきょろ落ち着かないのはA藤君であり、その話しぶりも心ここにあらず、といった感じだった。
何か、申し訳ない気持ちになって、つい「出ようか」と彼らに促すと、今度は腰があがらない。やはり、一度座った手前、何も注文しないで出るのはかなり厳しい情勢だ。
仕方ないので、瓶ビールを3本頼んだ。
サッポロの黒ラベル。
グラスに注いで乾杯して飲んだが、イマイチおいしく感じない。やはり、そわそわしているとビールというのはおいしくないのかもしれない。
つまみは「ミミガー」。
しかし、普段は瓶ビール一本などアッと言う間に飲み干してしまうのだが、この日の瓶ビールは飲んでも飲んでもなかなか減らなかった。
3人とも無言でビールあおっている。
傍からみたら、それはそれはおかしな光景であったろう。
果てしなく長い時間が過ぎた。
我々はようやく瓶ビールを飲み干し、腰をあげた。
1920円。
落ち着きなく飲んだせいか、その対価は非常に高い!と感じた。
一人で来たら、絶対にいい店。
今度は絶対一人で来よう。
さて、飲みなおすために我々が次に訪れた店は「立ち呑み処 いこい」(居酒屋放浪記NO.0101)。今回は2階にあがって、座りのみを堪能した。相変わらず、ここの串揚げは おいしく、そして酎ハイとの相性もばっちり。しかし、初めて行ったときの素晴らしさは微塵も感じなかった。もし、この日「いこい」を訪れていなかったら、この店は昨年の居酒屋アワードの立ち飲み部門を制していたはずである。
結局、居酒屋は一度行ったきりでは分からないものなのだ。
何度か行って、初めて本物なんだろう。
この日、我々は「いこい」で1万4000円余りのお勘定を払った。
相当以前、M野さんと何度か集中訪問しました。最近全く行って無いけど・・・・。近々行きましょう!
これで「味の笛」「カッパ」と隣あう3軒を制覇。少しずつ、上野の店を塗りつぶしているようで密かな喜びがあるよ。