
ホノルルに着いて、2日目。ワイキキのビーチを歩いていたら、突然ヒロのことを思い出した。
ここ数年、いやもしかすると10年くらい、彼のことを忘れていた。
インドのプリーで出会った強烈な男だった。
その詳細は、いずれ「オレ深」の本編で語ることにするが、何故、その男のことを思い出したかといえば、ボクはヒロとカルカッタ駅での別れ際、こういう約束をした。
「ハワイで会おう」。
あの日から、もう20年もたった。
ワイキキの街は何故か心が踊らない。
どこもかしこも見たことのあるものばかりだった。
昨日、ひとりでバスに乗り、ダウンタウンを歩いた。
そして、ボクはある一角に迷いこんだ。
チャイナタウンだった。
ここがホノルルかと思わせる、圧倒的な場所だった。
ボクはぞくぞくしてきた。「オレ深」の旅で、いつもいつもボクの魂を揺さぶって止まなかった、あの感覚。
とりわけ、チャイナタウンのスーパーマーケット。
色とりどりの野菜とフルーツ。肉屋の肉を解体する音とその臭い。生きた魚が蠢く売り場。
そして、市場の食堂。バットの上の焼き魚。ぶっかけのごはんの香りに、ボクはついつい見いってしまう。
ボクは、こっちのほうがいいんだな。
そう思った。
ワイキキに漂うサーフボードの甘いワックスの香りより、人々の暮らしと背中合わせにある市場の臭いに。
チャイナタウンの広場で地図を広げ、ボクがあれこれ思案していると、「ハロー」と黒人が声をかけ、ボクの隣に腰掛けてきた。
ボクは咄嗟に身構えた。しばらく地図をながめた後、ボクは席をたった。そして男に「See you」というと、彼は笑顔て「チャオ」と言った。更に男は「いい週末をな」とつけ加えた。
この旅をエンジョイしていないのが分かった。
どういう理由から、ヒロとハワイで会う約束をしたのか、それを今思い出している。
苛烈なインドを抜け、そして中東を越え、欧州で一息いれ、米国大陸で揉まれた先、旅の最後は楽園で体を休めよう。その楽園はハワイ。そこで落ち合おう。たしか、そんな約束だったように思う。
ワイキキのビーチを歩いていると、プリーの海で泳いでいたヒロを思い出す。
もしかしたら、彼がこのワイキキの沖を泳いでいるんじゃないかと。
ホノルルは、今朝を迎えた。
雲が多い。
少し雨も降っている。
風が心地よい。
正直、師とハワイはなんか違うような感じが俺の中ではするもんなあ。
しかし、そんな中でもチャイナタウンに行きちょっとだけ抵抗する師。涙を誘うよ。(笑)
けど、羨ましいよ。俺も久々に海外旅行行きたいよ。
でもね、ビーチばかりが、ハワイじゃないんだよね。
カフェでゆっくり本を読んだり、コリアンBBQやヴェトナム料理やらを楽しんだり。
ハワイの3分の2はアジア系だぞ。師よ。
いろんなハワイがあるんだよ。
師も今年は久々の海外に行くんだろ?
テレビではハワイらしいハワイしか取り上げないしねえ。
なお、俺の今年の海外行きはどうかなあ。全くプランやスケジュールとか進展してない(というかゼロ)から、今年はなさそうな感じだよ。(苦笑)
ふらっとインドでも行きなよ。
そういえば、師もハワイって感じじゃないな(笑)。