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王子駅の裏を何気なしに歩いていると、民家風の建物から数人の男らが出てくるのを見た。
「おや?居酒屋か?」
木造の格子が目立つ風流な建物に目立つ看板はなく、一見すると、なんの建物か分からない。
その瞬間、ボクは悟った。
もしかするとここが、「酒遊館 藤や」か、と。
王子の立ち飲み、数々あれど、噂に聞く「藤や」を見つけることはなかなかできなかった。はじめは、この店の母体である酒の小売店の中にくだんの立ち飲みがあるかと思い、何度も何度も店の前を通り、確認した。だが、何度見ても立ち飲みスペースはない。その後もネット検索して、地図で探すこと、一度や二度ではなかった。
そのうち、「店じまいしたんだな」と納得して、この店のことは忘れてしまった。
それが今日、いともたやすく店を見つけてしまったのだ。
これは入らなければ。
ザ・角打ち。
そんな言葉がぴったりな風流な店。
よしずに折り紙が飾られ、その横に大きな冷蔵庫。なかにはたんまりと日本酒の一升瓶。
レジカウンターには缶詰や乾きものがどっさり置かれている。
いいなぁ。この雰囲気。
おや?ギネス?
レジカウンターにギネスのタワー。
おぉ。ギネスの樽生。すばらしい。
ボクは迷うことなく、ギネスを頼んだ。だが、神よ。ギネスのビロードのような液体はボクのグラスには注がれなかった。
売り切れだったのである。
角打ちにギネスは、晴海の「TOKI」以来。なかなかお目にかかれない。
しかたなく、瓶詰めのハイネケンで。つまみは魚肉ソーセージ。
お姉さんがソーセージに切り身を入れてくれる。
ハイネケンを飲みながら、周囲の人たちの会話に耳を傾ける。
些細な他愛もない会話が展開される。それを聞くと、ボクは少しホッとした。
角打ちが特別な空間ではなく、人々の日常の場所であってほしいと思う。
だから、街の角打ちは華美であってはいけない。あくまで風流に。
素敵な雰囲気の角打ちが、ボクの心を解放してくれる。
ボクは冷蔵庫から、「上喜元」を出して、ついでもらう。
これが、たまらなくおいしい。
肴はサバ缶で。
いいなぁ。こういうの。
王子の角打ち。
これこそ、角打ちの醍醐味!
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