立ち飲みラリーの渋谷もいよいよラスト。あと一軒行けば、制覇出来たんじゃないかと思いながら、渋谷に向かう。長かったなぁ。渋谷と思いながら。
最後の一軒は道玄坂の上にある、スタンディングバー「AYA」。この界隈を歩いている時、偶然見つけた。だが、お店の前まで行ったら、閉まっていた。確か前回も開いてなかったし、もしやクローズしたのではと思い、検索すると開店は18時。最後の最後に難儀なお店が残ってしまった。
仕方ない。もう少し渋谷を散策するか。
道玄坂を降りて、麓の盛り場を歩いていると、まだまだあるではないか、立ち飲み屋。「立ち呑み 山ちゃん」。看板が大きいのに、何故今まで気づかなかったのか。
時刻は16時。お店は開いているようだ。
若い店主のお店。彼が山ちゃんなのだろうか。
「山ちゃん」て、ありそうでない店名。名古屋のチェーン、「世界の山ちゃん」は「世界」がつくが、単独で「山ちゃん」という店名は「居酒屋さすらひ」初だ。
「ホッピー」白からスタート。
さてとあてはどうするか。ぐるりと店内の短冊を見渡す。メニューはそれほど多くはないようだ。すると珍しいメニューを見つけた。
「おでんポテトサラダ」。
一体なんだろう。店主に訊くと、ポテサラをおでんのおつゆで味付けするらしい。そんなの聞いたことない。面白いのでオーダーしてみた。
出てきたおでんのポテサラはこんなに山盛り。「山ちゃん」の山は山盛りの山か?そしてこの変わったポテサラは本当におでんの味だった。しかも意外とこれがうまい。
お店を見渡すと、酔客の面倒防止のため、近所の警察署の電話番号を書いた紙が貼られているのは「晩杯屋」の手法と同じ。もしや、山ちゃん、「晩杯屋」で修行したのかと思うのだが、メニューにその片鱗は見えない。
お店の細部を見ると、結構がさつな感じが見え隠れしている。きっとワンオペでずっとやってきたんだなというのがなんとなく分かる。ただ、こういう細部にこだわってほしいという思いはある。お客さんは結構そういう部分に目を光らせているから。旧いお店と汚いお店は似て非なるもの。
自分の後に常連と思しき人が続々入店してきた。2人組の客は店頭の外席にて立ち飲み。店内はガラガラなのに。感染症リスク低減が目的か。
おかわりの「中」はそれなりに多くて嬉しい。けれど、腹は減っているものの、食べたいと思うあてはなく、ちびちびとポテサラで飲っていた。
3杯目の「中」をおかわりし、「兆楽」で腹を満たすかという体制に入った時、カウンターに置かれた一升瓶が目に留まった。
え? もしやあのラベル、「立春朝搾り」じゃないか。しかし一体どこの?
最近はいろんな酒蔵が、立春の日に搾った酒をその日のうちに詰めて出荷する、この縁起物の酒を出している。まさか、甲子酒造のじゃないだろうなと見せてもらったら、なんとビンゴ。まさか渋谷でこの酒に出会えるとは思わなかった。
もう迷わずにオーダー。一杯500円でも安い。しかも口開け。
注ぐグラスから弾ける細かい泡。ものすごい発泡がこの日の朝に詰めた新酒を物語る。
自分は毎年、立春の日にこの酒を買ってきたが、付き合いのある酒屋が今、存続の危機にあり、今年は買えなかった。しかしながら、縁とは恐ろしいもの。こうして渋谷の街で、しかも立春当日にいただけるなんて。今年もいいことありそうだ。
酒のあてといえばお刺身。カウンター隣の御仁が頼んだ、「かんぱち」の造りを自分もオーダー。ネタはよく、大きな切り身で大満足。
山ちゃんはちょっと寡黙なタイプの店主かと思ったが、「渋谷に来たら、また寄ってください」と声を掛けてくれた。
渋谷の立ち飲みラリーは残すところあと一店舗。けれど、その店舗に振られて見つけた立ち飲みでまさかのご縁が逆転打を生んだ。
また来ようかなと思わせるお店だった。
JRも高速バスも始発から運休となり、二日連続で出勤できず、自宅待機のみーさんです。
縁のあるお酒に偶然出会えた熊猫殿のウキウキ感が、何とな〜く伝わってくる良い記事ですね。
そのお酒、私も飲んでみたいなぁと思ってしまいました。
こんにちは。
いつもありがとうございます。
現地はホワイトアウトになっているというニュースを見ました。どうぞ、お気を付けください。
今回の偶然は本当に驚きました。恐らく、そんなに大量に出荷していないはずです。
千葉県の酒々井町の酒蔵さんの酒です。井戸から酒が出たというまさに酒の神様がいる町。毎年の立春の出荷風景はNHKの朝のニュースでも流れます。
贔屓にしている酒販売店さんが現在休業しており、今年はもう飲めないなと思っていたところでした。この偶然に我を忘れて興奮してしまいました。
来年、手に入れることができましたら、お送りいたします。