オレは旅に出た。新たな旅に。
立ち飲みラリーの南北線編を終えたばかりだったが、戦士に休息はない(誰が戦士やねん)。
新たな旅。それは、再び鉄道沿線の立ち飲みスポットを放浪する旅である。詳細はいずれ、当ブログ、居酒屋放浪記で明らかになるはずである。
さて、その日オレは地下鉄三ノ輪駅を降りた。
初めて降車する駅。それは、なんともワクワクする。地上に出て街の空気を嗅ぐ。それは、まさにその街の雰囲気を掴む手かがりだ。
目の前に昭和通りが横切り、正面をまっすぐに明治通りが伸びていく。
夕刻とはいえ、まだ陽は高い。大通りを行き交う交通量は非常に多く、街の空気は淀んでいる。
どっちへ行こうか。
サラリーマンの帰宅時間にしては、まだ早い6時過ぎ、駅の出口にたたずみ、銭湯に行こうと構えているのは、東京広しといえど、オレくらいなものだろう。
東京都区内で最も銭湯が密集するエリアはどこか。
オレは密かに北千住だと想像する。
しかし、ここ南千住・三ノ輪エリアも負けてはいない。
Googleの地図ではざっと10件が検索にひっかかった。
オレは、その中で「日の出湯」という銭湯にアタリをつけ、現場に向かったのである。
だが、いかんせん土地勘のないものが矢鱈滅多に歩いてはどうも要領をえない。
本来は明治通りを東に向かわねばならないのを、何故か昭和通を南西に向かった。行けども行けども銭湯の煙突は見えてこない。
細い路地、都電の沿線をくまなく回ってみた。
すると、「ジョイフル三ノ輪」という商店街に出た。
下町情緒あふれる昔ながらの商店街だ。
匂う。
何か匂う。
それは、居酒屋を放浪し、街を流れてきた者の勘だ。
大衆の熱気、庶民が逞しく生きるパワー。そこには、必ずと言っていいほど、彼らが集う場がある。それが、居酒屋であったり、銭湯であったりするのだ。
そうしているうちに発見したのが「大勝湯」。
聞くと80年の歴史がある銭湯なのだという。
ビルの1階にある「大勝湯」。
古い銭湯と思いきや、フロントは中央の番台でなく、浴場を監視するものではなかった。
しかし、浴場はかなり時代的。
脱衣所はかなり広い。現代銭湯と趣が違うのは、やはり造りが異なっているからに他ならない。
そこに老人がポカリスエットを飲みながら構えている。その老人、オレが湯を出るまでに同じ場所にいた。恐らく毎日の習慣なのだろう。
さて、浴場に入ると、その特異な設備にアッと驚かされた。
風呂のレイアウトは現在の銭湯と大きく異なっている。浴槽の向こうにまだ部屋があって、草津の湯や和倉の湯の浴槽があるのだ。
草津の浴槽には湯の花も浮いてあり、温泉の元を入れているわけではないことがうかがえる。その湯もゆったりしていて、気持ちよく入浴することができる。ちょうど、オレが行ったときは、先客が小説の文庫本をラップにくるみ、読書を行っていた。それほど、気持ちのいいお風呂なのである。
これだけ浴槽を揃えている銭湯もなかかろう。
ど の風呂も満遍なく気持ちがよかった。
僅か450円で名湯に入れることもなかなかあるまい。
出掛けに、番台のおばちゃんは、オレにこう言った。
「暑いので気をつけてください」と。
心に染み渡るような言葉であった。
立ち飲みラリーの南北線編を終えたばかりだったが、戦士に休息はない(誰が戦士やねん)。
新たな旅。それは、再び鉄道沿線の立ち飲みスポットを放浪する旅である。詳細はいずれ、当ブログ、居酒屋放浪記で明らかになるはずである。
さて、その日オレは地下鉄三ノ輪駅を降りた。
初めて降車する駅。それは、なんともワクワクする。地上に出て街の空気を嗅ぐ。それは、まさにその街の雰囲気を掴む手かがりだ。
目の前に昭和通りが横切り、正面をまっすぐに明治通りが伸びていく。
夕刻とはいえ、まだ陽は高い。大通りを行き交う交通量は非常に多く、街の空気は淀んでいる。
どっちへ行こうか。
サラリーマンの帰宅時間にしては、まだ早い6時過ぎ、駅の出口にたたずみ、銭湯に行こうと構えているのは、東京広しといえど、オレくらいなものだろう。
東京都区内で最も銭湯が密集するエリアはどこか。
オレは密かに北千住だと想像する。
しかし、ここ南千住・三ノ輪エリアも負けてはいない。
Googleの地図ではざっと10件が検索にひっかかった。
オレは、その中で「日の出湯」という銭湯にアタリをつけ、現場に向かったのである。
だが、いかんせん土地勘のないものが矢鱈滅多に歩いてはどうも要領をえない。
本来は明治通りを東に向かわねばならないのを、何故か昭和通を南西に向かった。行けども行けども銭湯の煙突は見えてこない。
細い路地、都電の沿線をくまなく回ってみた。
すると、「ジョイフル三ノ輪」という商店街に出た。
下町情緒あふれる昔ながらの商店街だ。
匂う。
何か匂う。
それは、居酒屋を放浪し、街を流れてきた者の勘だ。
大衆の熱気、庶民が逞しく生きるパワー。そこには、必ずと言っていいほど、彼らが集う場がある。それが、居酒屋であったり、銭湯であったりするのだ。
そうしているうちに発見したのが「大勝湯」。
聞くと80年の歴史がある銭湯なのだという。
ビルの1階にある「大勝湯」。
古い銭湯と思いきや、フロントは中央の番台でなく、浴場を監視するものではなかった。
しかし、浴場はかなり時代的。
脱衣所はかなり広い。現代銭湯と趣が違うのは、やはり造りが異なっているからに他ならない。
そこに老人がポカリスエットを飲みながら構えている。その老人、オレが湯を出るまでに同じ場所にいた。恐らく毎日の習慣なのだろう。
さて、浴場に入ると、その特異な設備にアッと驚かされた。
風呂のレイアウトは現在の銭湯と大きく異なっている。浴槽の向こうにまだ部屋があって、草津の湯や和倉の湯の浴槽があるのだ。
草津の浴槽には湯の花も浮いてあり、温泉の元を入れているわけではないことがうかがえる。その湯もゆったりしていて、気持ちよく入浴することができる。ちょうど、オレが行ったときは、先客が小説の文庫本をラップにくるみ、読書を行っていた。それほど、気持ちのいいお風呂なのである。
これだけ浴槽を揃えている銭湯もなかかろう。
ど の風呂も満遍なく気持ちがよかった。
僅か450円で名湯に入れることもなかなかあるまい。
出掛けに、番台のおばちゃんは、オレにこう言った。
「暑いので気をつけてください」と。
心に染み渡るような言葉であった。
前回の「玉の湯」はぶすっとした番台の女将。47℃のお風呂に誰が満足するというのか。
一方の「大勝湯」。
本文中にも書いたけれど、女将の「気をつけて帰ってくださいね」。
この違いはなんなのか。
ちなみに「大勝湯」は42℃だったよ。