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「だっちゃ」は随分立派な店に変貌していた。
かつて、昭和レトロ地下街にあった店舗はお世辞にも立派とはいえなかった。
「ボロい店」というのが、当時のわたしの印象である。
それがどうだろうか。
居酒屋というよりも、バルのように生まれ変わっている。
朱色の外観は佐渡島の朱鷺をイメージしているのだろうか。
内装も居酒屋然とした野暮ったい趣ではなく、やはりイタリアンレストランのような雰囲気を醸す。
「だっちゃ」の美人店主は相変わらずの美貌を振りまきながら、元気に客あしらいをしていた。
店はすでに多くの人がつめかけていた。店はかなり繁盛していた。女性が多いのがやけに目に付く。これまでの店舗では見かけない光景だった。
我々の会の集まりは悪かったが、時計が20時を過ぎたところで、静かにスタートした。
お通しはしめじとイカのあえ物。これがさっぱりとしておいしい。「だっちゃ」の得意料理はイカ。これがなかなかおいしい。仕入れのほとんどは佐渡島からとのこと。店頭には、緑色の提灯が揺れる。
ビールはスーパードライ。
料理はおまかせで出てくるらしい。
まず、はじめに出てきたのが「たらこの煮付け」である。
ビールを飲み干して、わたしは日本酒に切り替えた。
もちろん佐渡島の酒「金鶴」。
この瞬間、我々は佐渡島にトリップした。
思えば、Mっちゃんには佐渡島ネタでいじめたものである。
佐渡島はロシア領ではないかと。佐渡島で放映されていたというクイズ番組「クイズでズドーラーチェ」は我々の合言葉にもなった。
料理は佐渡島名物「いごねり」が来て、我々のテーブルは最高潮になった。
突発的な退職となったS目ちゃんも、自分の希望する就職先に決まったことで、会も湿ったものではなく、壮行会のような形で進んでいった。
このあたりから、わたしの記憶が薄らいでいく。
当時の備忘録も途切れている。
2時間の酒宴が終わり、会計の段になった。6人の会でしめて40,000円近く。
おぉ、けっこうな額になった。
店主のお姉さんの愛情のこもった料理とお酒はおいしく、何もいうことはない。
だが、あえて、でもと言いたい。
かつてあったあのボロいお店の方がざっくばらんで楽しかったし、気軽な金額でお酒が飲めた。
ひとり6,000円以上の店ともなるとハレの店である。そう簡単には来られないだろう。
今は、お姉さんとの距離も遠くなった。どっちがいいかと尋ねられたら、わたしは地下鉄のボロい店の方が好きだったな。佐渡市長も通ったあのボロい店。
もう気軽には行けない店になってしまったけれど、これからもたまには顔を出したいと思う。
まるごと佐渡島のお店はそうそうないから。
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