栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

トリオミンストレルの栗野的楽しみ方

2008-09-21 12:58:17 | 視点
 18日、福岡・あいれふホールで開催されたトリオミンストレルのコンサートに行ってきた。
アンコールに4回も応えるなど大いに盛り上がり、聴衆も大喜びだった。

 それにしてもこのトリオのコンサートはある意味で音なしでも充分楽しめる。
特にチェロ奏者、小川剛一郎氏とヴァイオリン奏者、木野雅之氏の関係はまるで恋する二人のようで、音を消して舞台を観ているだけでも楽しい。

 チェロを弾きながら小川さんが時折、木野さんを熱いまなざしで見つめ、頷く。
すると木野さんも恋する女性宜しく、小さく頷き返す。
「木野、お前の音はいいよ」
「分かってる」
 そんな会話さえ聞こえてきそうだ。

 だが時に、ヴァイオリンはチェロを無視する。
見つめても無視され、頷き返してこないので、チェロは自分の世界に浸る。
「ああ、俺の音はなんて素晴らしいのだろう」
目をつむり、時にニヤッと笑い、ヴァイオリンもピアノも観客の存在をも忘れ、自分の世界に酔いしれているように見える小川さん。

 そんな二人の関係を知ってか知らずか、ピアノの北住淳さんは二人の関係に割って入るでもなく、かといって自分の世界にだけ浸るのでもなく、チェロとヴァイオリンの音に合わせつつも、冷静に、きっちり自己主張していく。
 こんな演奏ができるのも熟年トリオだからだろう。

 当日はコンサート終了後、CDの販売もあり、3人が盤面にそれぞれサインしてくれるというサービス。
「八木節」と「ミストレル」2枚のCDを買い、私もサインしてもらった。

 その後、主催者から懇親会に誘ってもらったので、予定外の行動だったが喜んで参加。
 テーブルを囲みながら北住、木野、小川の3氏とそれぞれ話し、上記の「恋愛関係」のことを話すと「私は女ですか」と太鼓腹を揺すりながら木野さんが豪快に笑っていた。
 演奏中の印象と最も違っていたのが木野氏で、よく喋る喋る。楽しい人だが、あんな繊細な音をこの人が弾くのかと思うと、また面白くもあり、違う楽しみ方を密かに見つけた。
 北住さんは印象通りの人で、ひと言でいえば紳士。
派手なパフォーマンスもなく、きちんと丁寧に演奏する人という印象だった。

 6時半から音楽に酔い、9時からは会話に酔い、日付が変わった頃、満足感という衣を着て家路についた。
ありがとう、トリミンストレル。


ヤン/北緯41度(スペインと中国のギター作品) ヤン/北緯41度(スペインと中国のギター作品)