栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

かつての面影はどこにもないベスト電器

2009-11-06 12:13:46 | 視点
 最近使わなくなったカードが2枚ある。
1枚はベスト電器のベストカード。
もう1枚はダイエーのOMCカード。
どちらも上得意にランクされていたが、最近すっかり店に足を運ぶことがなくなった。
最大の理由は他店の方が安いからだが、それだけではない。
特にベスト電器に関していえば、従業員の接客力が格段に落ちているからだ。

 では、いつ頃から落ち始めたのかといえば、ビックカメラが天神に進出して1、2年後。決定的になったのは博多駅近くにヨドバシカメラが進出してからだ。
この頃から天神のベスト電器本店の集客は目立って落ちた。
 集客が減り始めた頃は危機意識もあり、経営幹部から店頭販売社員まで頑張らねばという気持ちになり、一生懸命に頑張るが、やがてそれが常態化し出すと、今度は客が少なくてもそれが異常ではなく、それが普通なのだと思い出す。

 こうなると全てがその状態(来店客が少ない状態)を基準にしだす。
来店客への声掛けも、接客態度も、動作も。
さらに事態が進むと客を客と見なくなる。
客ではなく通行人としか見なくなるのだ。
どうせ買わないだろうと。
 こうなるともう完全に負のスパイラルである。
ますます売り上げは落ち、客は離れていく。

 そのベスト電器本店に久し振りに行ってみた。
ビックカメラと提携して少しは変わったのではないかという淡い期待を抱きながら。
 たしかに価格は変わった。
従来は「価格競争はしない」という方針もあり、ビックカメラなどと比べると全体的に少し高めだった。
ところがビックカメラと提携以後、価格は以前より下がり、ビックカメラと比べても遜色なくなった。

 変わった箇所はもう1点。
販売員の数がさらに減少したことと、年配の販売員が増えたことだ。
年配者が増えたことで以前よりサービスが向上するかと思ったが、客への声掛けはせず、商品をしばらく見ていても寄ってこず、わざわざ呼ばないと側に来なかった。
これでは売り上げが回復するわけはない。
他人事ながらもう少し接客技術向上の研修をしたらどうだと、つい憤慨してしまった。


ソースネクスト