栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

鳩山政権で失望した閣僚

2010-06-04 17:17:10 | 視点
 歴代5位と短命に終わった鳩山政権は政権そのものが国民の期待を裏切り失望したこともあるが、内閣を構成する個々の閣僚の中にも失望した人がいる。
 その筆頭はなんといっても最高権力者である内閣総理大臣の鳩山由紀夫氏だが、もともと「宇宙人」という異名を取っていた人でもあり、個人的には期待値が高くはなかった。
だから「期待外れ」という感はあまりない。
まあ、こんなものなのじゃないの、という感じだ。

 期待外れの筆頭は長妻厚生大臣と平野官房長官だろう。
長妻氏は当初、国家戦略担当大臣への就任を鳩山前首相から要請されたが、「自分は年金をやりたいんです」と厚生大臣への就任に固執した。
「ごね得」か「ごね損」か分からないが、結局、厚生大臣へ就任したものの、年金問題以外には大した知識もなかったから、就任直後から官僚に取り込まれ、勉強するのが精一杯で、肝心の年金問題でも大した精かを出すことも出来ず、気が付いたらほとんど目立たなくなっていた。
それと同時に彼からオーラどころか笑顔さえ消えていた。

 平野前官房長官は普天間問題の戦犯と言っていいだろう。
本来、首相を支えなければならない立場だが、逆に鳩山前首相の足を引っ張っただけに終わった。
「誰を信じていいのか分からない」というようなニュアンスの言葉を鳩山前首相が呟いていたが、その中に平野前官房長官が含まれていたのは間違いないだろう。
 鳩山政権短命に寄与した「戦犯」とでもいうべき岡田外相、前原沖縄担当大臣、北沢防衛相、平野官房長官は新内閣に入れるべきではないだろう。

 期待外れというより見苦しかったのは社民党の辻元議員だ。
彼女は政治家としてもう少し期待していただけに残念だった。
国土交通省副大臣として入閣したが、入閣直後「ヤダ、ヤダ、ヤダ、絶対ヤダ」と辞任したいと駄々をこねたくせに、今度は社民党が連立離脱を決め、社民党議員は全員(といっても福島党首と辻元議員の2人だが)辞任すべきだという党内の意見が高まると、「なんで私が辞めなければならないの。福島さんの代わりに誰か他の人が入閣すれば済む話じゃないの」と駄々をこねている。
 そんなに閣僚の地位に留まりたいのなら社民党を離党して民主党(前原グループ)に入ればよかったのだ。
前原氏もそれが望みだったのだから。
 党の主張と個人的な人の好き嫌いを同一次元でしか考えられないような人間に政治家としての資格はない。
もう少し期待していただけに、辻元氏の駄々っ子のような性格には正直期待外れを通り越し、ガッカリした。
確かに福島、辻元の人間関係はいい方ではなかったが。

 個人的な好き嫌いを別にすれば、最後の政治家といえるのは小沢一郎氏だろう。
秘密主義とアクの強さに「悪代官」顔が加わり、常に悪役にされてきたが、信念を持った政治家という意味では人後に落ちない。
案外軽視されているが、彼は一貫して政治改革(彼の信じる)を行ってきている。
 従来、大手新聞社で構成される記者クラブが独占していた会見も、記者クラブに属さない雑誌記者やフリーのジャーナリスト達にも開放したのは小沢氏である。
また、小沢氏は同僚議員の批判をしないことでも知られている。
 世間で言われるほど悪い政治家ではないと思うが、彼の欠点は「説明をしないこと」とオープン性にかけることだろう。ただ弁解、弁明もしないのはさすがだと思う。
 政界引退後に政界内幕本でも書けば面白いだろうが、そういうことも潔しとせず、恐らくは沈黙を守り続けるに違いない。
 善きにつけ悪しきにつけ、こういうタイプの政治家がいなくなりつつあるのはちょっと寂しい。