中国自動車道下り線のサービスエリアに入ってきたバスから乗客が次々に降りてくる。
観光バスのトイレ休憩だろうと思ったが、観光バスの乗客にしては少し様子が違った。
広交観光のバスで、行き先には「福岡」と表示されているが、降りてきた人達から受けた印象はグループ旅行ではなく、たまたま同じバスに乗り合わせた人達という感じだった。
そこで乗客の一人に「これは観光バスですか、路線バスですか」と尋ねると、路線バスという返事が返ってきた。
広島ー福岡間に高速バスが走っていたことを不明にして知らなかったが、それ以上に驚いたのは乗客の多さだった。
その日は土曜日の午後2時頃。
広島から福岡に行く人が多いとは少し意外な気がしたので、バスに近付き、運転手に声を掛け質問してみた。
「乗客が随分多いように見受けましたが、広島、福岡は定期路線ですか」
「1日8往復便しています」
「えー、そんなに本数が多いんですか」
「お客さんも多いですよ。今日は30人乗っていますから。この路線だけは儲かっています」
週末・祝日は「高速1000円」の影響で、バス会社は軒並み大打撃を受け、次々に長距離路線を廃止したり、便数の削減に動いているが、福岡行きは人気があるらしい。
かつて「札仙広福」といわれたことがあった。
三大都市圏に次ぐ都市として、札幌、仙台、広島、福岡がほぼ同規模都市圏として注目されたのだ。
ただ、その後は「都市の元気度」からも福岡が他3都市を抜いてはいたが。
それにしても思わぬ所で、思わぬ形で福岡の吸引力を知らせることになった。
たしかに都市としての「福岡」の魅力は増しつつある。
東急ハンズもオープンするし、デパートももう1店増える。
だが、そうしたハードやモノなど物質的なものではなく、地方には地方には面白さがあるし、新しい発見もある。
「地方を旅する面白さ」を写真とともに、ブログ「栗野的風景」の中で時々紹介しているので、そちらも時にご覧頂きたい。