ご苦労さん労務やっぱり

労務管理に関する基礎知識や情報など。 3日・13日・23日に更新する予定です。(タイトルは事務所電話番号の語呂合わせ)

在宅勤務者を「業務委託」とすることは可能か

2011-09-13 16:47:06 | 労務情報

 就労形態の多様化に伴い、在宅で勤務する者も今後増加すると思われるが、彼らを労働者として雇用するのでなく、個人事業者として業務委託契約を締結するのは許されるのだろうか。
 答えは「扱い方によって可」であるが、グレーな部分が大きいので慎重な対応が求められるところだ。

 契約上は「個人事業者」とされていても、使用従属関係に在ると見られる場合は「労働者」として扱わなければならない。具体的には、「業務の具体的内容および遂行方法を指示されている」、「時間的拘束を受けている」、「報酬が労務の対価たる性格を持つ」、「会社の所有する器具・備品類を用いている」、「経費(交通費等)をその都度精算する」などといった扱いであると、“労働者性”が強まるとされる。
 労働者であるなら、当然、時間外労働に対する割増賃金や災害補償の問題も生じる。会社としては、これらのリスクを回避したいからこそ業務委託の形式を採用しようとするのかも知れないが、そうであれば、形式面だけでなく実態として、完全に独立した個人事業者として扱わなければならない。

 業務委託者の労働者性を争われた裁判では、契約書上の形式的な文言だけではなく、「拘束時間や収入の面で特定の事業者にどの程度依存しているか」を判断要素にしている例が多く見られる。もっとも、その労働者性を肯定したか否定したかについては、個別具体的な事情によって判断は分かれているようだが。
 しかし、勝つにせよ負けるにせよ、訴訟にまで発展するのは会社にとって損にはなれ決して得にはならないので、目先のメリットだけ追い求めることのないよう心がけたい。

 なお、在宅勤務者の労働者性については厚生労働省が具体例とともに基準を示しているので、参考にすると良いだろう。
 ※厚生労働省サイト>「在宅勤務者についての労働者性の判断について」


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