給与は、その全額を直接通貨で支払わなければならない。「通貨」すなわち「現金」で支払うことを労働基準法は求めているのだ。しかし現実には、銀行振込により給与を支払っている会社は多いが、労基法上それは例外扱いであって、労働者の同意(労働協約または個別同意)が有って初めて銀行振込が可能になると解される。
さて、この「同意」は、労働協約なら必ず書面をもって締結されるが、個別同意なら口頭でも良いことになっている。しかし、トラブルになったときのことを考えれば、個別同意も書面に残しておくのが望ましいだろう。
まれに「預金通帳のコピーの提出」をもって同意の意思表示とみなしている会社も見かけるが、コピーを提出しただけで「同意した」と読み取るには無理がある。せめて、その余白にでも「給与振込先はこちらです」ぐらいは本人に自筆させておきたい…‥
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