最低賃金の見直しの議論が喧しいが、経営者としては、最低賃金法違反が、逮捕・送検(身柄拘束)の対象となりうることは承知しておかなければならない。
昨年11月には、東京都町田市の託児所経営者(以下、本稿では「本件被疑者」と呼ぶ)が最低賃金法違反の容疑で逮捕・送検され、世間を驚かせた。
確かに、労働基準監督官は、労働基準法違反や最低賃金法違反等の罪について逮捕権を有する(労働基準法第102条、最低賃金法第33条、刑事訴訟法第199条)とされてはいるものの、通常は、是正勧告を受けるか、悪質なケースにおいて在宅のまま書類送検されることがあるくらいで、実際に使用者が逮捕されて身柄を拘束されるのは、非常にレアな事例だ。
東京労働局の発表内容によれば、本件被疑者は以前には清掃業を営んでいたが、その当時、平成23年から翌年にかけて労働者に対する賃金不払いを繰り返し発生させたため、八王子労働基準監督署町田支署が不払賃金を支払うよう行政指導を行った。しかし、本件被疑者は「退職した労働者には支払わない」等と主張して行政指導に従わず、労働者のうち1人の賃金17,250円、もう1人の賃金80,690円(合計97,940円)が支払われていない状態が続いていた。加えて、本件被疑者は当支署による再三の出頭要求に応じず、罪証隠滅のおそれもあったことなどから、逮捕に至ったとのことだ。
経営者が逮捕されたとなると、現在の事業(託児所経営)の社会的な評判や信用にも少なからず影響を与えるだろうし、事業の大幅縮小(下手をすると倒産も)の要因ともなりうる。
「たった9万8千円」の賃金支払いを惜しんだばかりに、もっと大きな代償を背負ってしまうことにつながる話だ。
この事件に関しては少々「見せしめ」感も受けるものの、そもそも最低賃金法違反が刑法犯であることを認識していない経営者も多いなか、警鐘を鳴らしたと言える。逮捕権を有すればこそ、労働基準監督官の勧告や指導には強制力があることを、我々は理解しておくべきだろう。
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