法定労働時間を超える労働には割増賃金を支払わなければならない(労働基準法第37条)ことは今さら言うまでもないだろうが、歩合給制の場合、割増賃金の算定基礎たる「通常の労働時間の賃金」の算出にあたっては、月給制の場合とは計算方法が異なるので、気を付けなければならない。
具体的には、基本給や各種手当といった月額一定の賃金なら「1か月あたりの所定労働時間」で割って単価を求める(労働基準法施行規則第19条第1項第4号)のだが、歩合給については「賃金計算期間中の総労働時間」で割って算出する(同条同項第6号)。
5月のように休みが多い期間は“総労働時間”は少なくなるため、単価は高くなりがちだが、法令上そういう計算ルールになっているので、仕方が無いだろう。
これは、賃金の一部に歩合給を含む場合も考え方は同じだ。その場合は、“定額部分”と“歩合給部分”とをそれぞれ別々に算出して後で合算することになる(同条同項第7号)。うっかり失念しやすい点でもあるので、要注意だ。
なお、「成績に応じて賞与を支給する」、すなわち「歩合給相当部分を賞与として支給する」というシステムであれば、割増賃金の算定基礎に含めなくて良い。
しかし、これでは、インセンティブとしての歩合給の効果は薄れてしまうので、「時間外手当の削減」という目先のメリットだけのために安易に導入すべき方策ではないだろう。
※この記事はお役に立ちましたでしょうか。
よろしかったら「人気ブログランキング」への投票をお願いいたします。
(クリックしていただくと、当ブログにポイントが入り、ランキングページが開きます。)
↓