改正労働者派遣法の施行により、派遣先(派遣労働者を受け入れる側)にとって労働者派遣は使いづらくなったため、直接雇用(紹介事業者を介するものを含む)にシフトする動きが活発化している。それ自体は、労働者の雇用・生活の安定に、ひいては社会の安定につながる話であって、そもそも法が期待していたところでもある。
しかし、雇い入れる側としては、派遣を受け入れるのとは異なり、“雇用主”としての義務や責任が自社に課されるようになる。このブログの読者諸兄諸姉におかれては先刻ご承知の事とは思うが、改めて、直接雇用にはどんなリスクがあるのかを以下に列挙してみたい。
まず、労働者を雇い入れるに際しては、労働条件を書面で明示しなければならない。加えて、「労務管理の三帳簿」と称される「労働者名簿」・「賃金台帳」・「出勤簿」も作成する必要がある。これらは1日だけの雇用であっても例外ではない。
そして、賃金からは所得税を源泉徴収しなければならないし、年末調整が必要になるケースも多いだろう。
また、雇用保険・健康保険・厚生年金の被保険者になる場合はもとより、これらの適用対象からは外れるとしても、労災保険の被保険者にはなるので、その分の保険料は事業主負担となる。
さらには、その労働者への安全配慮義務や、その労働者が第三者に損害を与えた際の使用者責任も発生する。社内でのセクハラやパワハラの被害者・加害者になることも想定しておかなければならないだろう。
そして何よりも、「人を雇う」ことの重みは、事業主として認識しておかなければなるまい。
安易に「“派遣料”が“賃金”に変わっただけ」と考えてはならないのだ。
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