従業員を出張させた場合、その用務先への往復時間は、(道中に為すべき業務を命じている場合を除き)基本的に労働時間ではない。
もちろん就労として扱うのも差し支えないが、それが労働協約・就業規則・労使慣行等によりルール化されていない限りは、会社がそうしなければならない義務は無い。
なお、出張の性格等によっては“みなし労働時間”を適用することが可能な場合も有るが、ここでは考えないこととする。
さて、理屈ではそういうことになるが、これを厳格に適用すると、現実の勤怠管理では問題が生じてしまう。
というのは、自宅から用務先への移動時間を“不就労”として扱うならば、所定始業時刻までに用務先に到着していなければ“遅刻”扱いとすることになるからだ。
会社が勤務地の変更を命じておきながらその扱いでは、従業員は納得できないだろう。
そこで、就業規則には次のように書いておくのも一案だ。
「出張にあっては最初の勤務地に到着した時から最後の勤務地を出発した時までを就労時間として扱う。ただし、所定始終業時刻において現に移動途上に在る場合には、遅刻または早退の扱いをしないものとする。」
つまり、「出張先との往復時間は原則として不就労扱いとするが、遅刻や早退の扱いに際しては配慮する」ということだ。
これが現実的な解釈に最も近く、実務上も使いやすいのではないだろうか。
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