「パラレルワーク」(※)とは、本業の他に仕事を持つことをいう。古くから、副収入を得るために「副業」に就くことは珍しくなかったが、近年は、主副を区別せず、また、雇用か非雇用(フリーランス)かも問わない、「複業」と呼ばれることも(さらには「幅業」・「伏業」といった“造語”が用いられることも)増えてきた。
※)P・F・ドラッカーが著書『プロフェッショナルの条件』の中で提唱した「パラレル・キャリア(第二の仕事)」と似た概念ではあるが、ドラッカーは、本業が退屈になったり、本業で挫折したりした人の選択肢の一つとして挙げているので、少し意味合いが異なる。
さて、パラレルワークは、本人にとっては、「副収入を得られる」ことのほか、「自分の好きな事を仕事にできる」、「経験やスキルが高まる」、「人脈を広げられる」、「一つの会社に頼りきらなくてよい」といったメリットがある。
一方で、パラレルワークを認める(または推進する)ことで、雇用主には、次のようなメリットがあると言われる。
(1) 従業員が自らスキルを高めてくれる(自己啓発と同じ効果)
(2) 離職率が低下する(転職とは異なるので)
(3) 企業イメージの向上に寄与する
(4) ワークシェアリング等の受け皿になる(いささか後ろ向きな話ではあるが)
では、パラレルワークは、雇用主にとってデメリットが無いかと言うとそうでもない。懸念されるのは主に次の5つだろう。
(1) 自社の業務に専念できなくなる
(2) 過重労働になりがちになる
(3) 営業秘密や個人情報等が漏洩するリスクがある
(4) 企業ロイヤリティが低下する
(5) 時間外労働の割増賃金支払い等の事務処理が煩雑になる
しかし、5つめはともかく、それ以外は、必ずしもそうなるとは限らないし、また、趣味やサークル活動に勤しんでいても同じリスクはありそうだ。
そう考えると、パラレルワークを禁止する理由は無いとすら言えそうだ。
もちろん、自社の業務に支障が出ないよう、本人に“釘を刺しておく”必要はあろう。そのためにも、会社への届け出は徹底させたいところだ。
今年8月8日に、厚生労働省が昨年7月に立ち上げた有識者会議「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する研究会」は報告書をとりまとめ、今後解決しなければならない課題を洗い出した。
行政が「柔軟な働き方」の一つとして(「テレワーク」や「多様な正社員」とともに)「副業・兼業」を推進していこうとする姿勢を示した以上、民間企業も、これを踏まえた対応を検討していかなければならないだろう。
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