このところ東京都内での新型コロナ感染者が200人/日を超える日が続いている。 しかも、その約半数が20代~30代で、いわゆる「夜の街」の関係者(端的に言えばキャバ嬢やホストたち)とのことだ。
ところで、この「夜の街」という表現が曖昧で分かりにくいためか、このニュースを報じるマスメディアが「接客を伴う飲食店」と言い換えているのを見聞きすることがある。
しかし、「接客を伴う飲食店」って、普通の(店員さんのいる)飲食店ならすべて“接客”を伴うのではなかろうか。 逆に「接客を伴わない飲食店」というのは無人の自販機食堂のようなものしか思い当たらない。
おそらく(推測の域を出ないが)、メディアは「接待を伴う飲食店」と言いたいところ、“接待”というのが分かりにくいので、「接客を伴う飲食店」という用語で代用したのだろうと思われる。
確かに、一般に「接待」と聞くと、「取引先を接待する」とか「公務員を接待してはいけない」とか、あるいは「接待ゴルフ」・「接待麻雀」のように、(多くは自分が)相手をもてなすことを意味する場合が多い。
しかし、飲食業において接待とは、「(店の人が)歓楽的雰囲気を醸し出す方法により(来店した)客をもてなすこと」(風俗営業法第2条第3項)とされ、具体的には、特定の客のために談笑したり体を密着させたりすることを言う。
文字通り「接し、はべる」のが「接待」であって、大雑把に「店の人が客席側に座るのが接待」と理解しても、大きく外れてはいまい。
これを行う飲食店は、風俗営業許可を取らなければいけない。
逆に、風俗営業許可の無い飲食店では、お酌したり(ただしボトルから最初の1杯だけグラスに注ぐのはOK)、デュエットしたり(グレーな店も多そうだが)というのは禁止されている。
なので、マスメディアには、正しく「接待を伴う飲食店」と言ってほしい。
もし「接待」という用語が視聴者の誤解を招きそうなら、それを解説する時間を設けるなど工夫するのもマスメディアの役割なのではなかろうか。
特に日本放送協会(NHK)は、その『国内番組基準』(制定:昭和34年7月21日;直近改正:平成10年5月26日)第11項「表現」の1号に「わかりやすい表現を用い、正しいことばの普及につとめる」と書いてあるくらいなのだから。
その労を惜しんで簡単に「接客を伴う飲食店」と言い換えてしまうと、「接し侍らない(普通の)飲食店」(そのほとんどが店員のマスク着用等、感染防止に最大限の努力を払っている)の客足にも悪影響を及ぼしかねない。 新型コロナウイルスが終息したわけではないので油断は禁物だが、必要以上に危機意識を煽るのも、メディアの姿勢としては甚だ疑問だ。
国の言う「新しい生活様式」を心がけつつ、少しずつ日常を取り戻していくようにするべきと個人的には思っている。
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