ご苦労さん労務やっぱり

労務管理に関する基礎知識や情報など。 3日・13日・23日に更新する予定です。(タイトルは事務所電話番号の語呂合わせ)

モラールからモチベーションへ、ロイヤルティからエンゲージメントへ。

2020-10-03 10:59:11 | 労務情報

 会社は、従業員には、やる気をもって仕事をしてもらいたいし、会社への帰属意識も高めてもらいたい。 それによって、生産性が向上し、また、事故も少なくなるからだ。
 この願い自体は、昔(昭和)も今(令和)も変わらないだろう。 しかし、その意味や手段は異なってきている。

 まず、従業員の“やる気”に関しては、昔は「モラール」(morale;士気)と呼ばれることが多かった。
 ちなみに、「モラール」と「モラル」(moral;道徳・倫理)とは混同しやすい(語源は同じとも言われる)が、日本の労務管理では両者を区別して用いている。

 さて、この「モラール」は、今では、リーダーシップ発現方法の一つとして示される例は残っているものの、企業全体の労務管理においては「モチベーション」(motivation;動機付け)という用語に取って代わられている。
 これは、生産性向上のカギを「強いリーダーシップ」から「個々の力の結集」にそのウエイトを移してきたことの表れと言える。

 また、会社への帰属意識に関しては、昔は「ロイヤルティ」(loyalty;忠誠心)という用語で示されることが多かったが、今は「エンゲージメント」(engagement;愛着を持っている状態)を重要視するようになってきている。
 エンゲージメントは、本来はマーケティング用語で「ユーザーによる自社製品の愛顧」という意で使われることが多いが、これを労務管理で用いた場合、従業員に「会社を好きになってもらいたい」という意図を含む。 日本語の「愛社精神」とは少しニュアンスが異なる概念だ。
 これも、会社への帰属意識を、「集団としての従業員」というより、「個々の従業員が会社との絆をそれぞれ感じている」ことを目指すようになった、と言える。

 昭和時代を知っている世代には、今の若者は「やる気が無い」とか「会社への帰属意識が薄い」と映るかも知れない。 しかし、そうではなくて、従業員が会社に求めるもの(逆に言うと、会社が従業員に提供するべきもの)の質が変容してきたことを理解しなければならないだろう。


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