会社は、従業員には、やる気をもって仕事をしてもらいたいし、会社への帰属意識も高めてもらいたい。 それによって、生産性が向上し、また、事故も少なくなるからだ。
この願い自体は、昔(昭和)も今(令和)も変わらないだろう。 しかし、その意味や手段は異なってきている。
まず、従業員の“やる気”に関しては、昔は「モラール」(morale;士気)と呼ばれることが多かった。
ちなみに、「モラール」と「モラル」(moral;道徳・倫理)とは混同しやすい(語源は同じとも言われる)が、日本の労務管理では両者を区別して用いている。
さて、この「モラール」は、今では、リーダーシップ発現方法の一つとして示される例は残っているものの、企業全体の労務管理においては「モチベーション」(motivation;動機付け)という用語に取って代わられている。
これは、生産性向上のカギを「強いリーダーシップ」から「個々の力の結集」にそのウエイトを移してきたことの表れと言える。
また、会社への帰属意識に関しては、昔は「ロイヤルティ」(loyalty;忠誠心)という用語で示されることが多かったが、今は「エンゲージメント」(engagement;愛着を持っている状態)を重要視するようになってきている。
エンゲージメントは、本来はマーケティング用語で「ユーザーによる自社製品の愛顧」という意で使われることが多いが、これを労務管理で用いた場合、従業員に「会社を好きになってもらいたい」という意図を含む。 日本語の「愛社精神」とは少しニュアンスが異なる概念だ。
これも、会社への帰属意識を、「集団としての従業員」というより、「個々の従業員が会社との絆をそれぞれ感じている」ことを目指すようになった、と言える。
昭和時代を知っている世代には、今の若者は「やる気が無い」とか「会社への帰属意識が薄い」と映るかも知れない。 しかし、そうではなくて、従業員が会社に求めるもの(逆に言うと、会社が従業員に提供するべきもの)の質が変容してきたことを理解しなければならないだろう。
※この記事はお役に立ちましたでしょうか。
よろしかったら「人気ブログランキング」への投票をお願いいたします。
(クリックしていただくと、当ブログにポイントが入り、ランキングページが開きます。)
↓