ご苦労さん労務やっぱり

労務管理に関する基礎知識や情報など。 3日・13日・23日に更新する予定です。(タイトルは事務所電話番号の語呂合わせ)

中高齢応募者に経験要件を課したい場合の求人

2021-07-03 17:59:08 | 労務情報

 従業員の求人において、例えば「40歳以上は経験者のみ応募可。40歳未満は未経験でも応募可。」というような条件を付すことは問題ないのだろうか。
 ありがちな例だが、実は、このような募集は、違法となる可能性が高い。
 労働施策総合推進法(※)第9条に定める「労働者の募集及び採用について(中略)その年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない」の趣旨に照らして不適切と言えるからだ。
 ※)旧「雇用対策法」を改正して「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」として施行されている法律;一般に「パワハラ防止法」とも呼ばれる。

 しかし、現実にこのような応募要件を課したい会社も存在するだろう。
 その場合、法に抵触しないようにするためには、次のような求人方法が考えられる。

A:「年齢不問、要業務経験」・「40歳未満、経験不問」の2つの求人に分ける
 応募条件に「業務経験」を課すことは可能である一方、長期勤続によるキャリア形成を図る観点から若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合は年齢制限を設けることが可能である(労働施策総合推進法施行規則第1条の3第1項第3号イ)ので、この2種類の求人とすれば法に抵触しない。

B:「年齢不問、要業務経験。40歳未満の場合は経験不問」という求人とする
 Aに示した2つの求人を組み合わせて複合的な表現にしたもの。本稿冒頭に記した表現とあまり変わらない印象は否めないが、厚生労働省が公表する『労働者の募集及び採用における年齢制限禁止の義務化に係るQ&A』(https://www.mhlw.go.jp/content/000596959.pdf)では、これを「認められる」としている。

C:求人広告に「30代の未経験者活躍中」と記載する
 会社に関する事実を表示することは(それが事実であるならば)問題ない。ただし、実質的に年齢制限していると求職者に誤解されないよう努める必要がある。

 こうなると、問題は「求人広告にどう表現するか」という話に矮小化しそうだが、こんなことで行政から勧告(従わないと企業名公表)を受けるのもつまらない。
 そもそも、法は、年齢にかかわりなく均等な機会を与えるべきことを会社に義務づけているのであって、結果として特定の年齢層に偏った採用となることまで禁じられているわけではない。
 であればこそ、求人の段階でのちょっとした注意を怠るべきではないだろう。


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