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「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」の見直し

2025-03-13 09:59:54 | 労務情報

 介護休業は、要介護状態(2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態)にある対象家族の介護等のために取得することができる(育児介護休業法第11条・育児介護休業法施行規則第2条ほか)。
 この「常時介護を必要とする状態」というのは、「(介護認定を受けている場合は)要介護2以上であること」または「厚生労働省が定める『常時介護を必要とする状態に関する判断基準』のうち、2が2つ以上または3が1つ以上該当し、かつ、その状態が継続すると認められること」とされている。
【参考】厚生労働省「よくあるお問い合わせ(事業主の方へ)」

 一方で、今年(令和7年)4月から、会社は、介護に直面した旨を申し出た労働者に対して、介護休業その他の介護両立支援制度等に関して個別に周知し、それらの利用について意向を確認しなければならなくなる(育児介護休業法改正第21条第2項)。
 つまり、これまでは、該当労働者が「介護休業を取得したい」などと具体的に申し出て来れば拒めないものの、申し出が無ければ会社には特段の義務が生じなかったところ、今後は、そうはいかなくなる。該当労働者に説明するためにも、会社(経営者や労務担当者)は、これらの制度について正しく理解しておかなければならないのだ。

 ところで、令和6年の育児介護休業法改正にあたっては、衆参両院から、「介護休業等の対象となる要介護状態についての現行の判断基準は、主に高齢者介護を念頭に作成されており、子に障害のある場合や医療的ケアを必要とする場合には解釈が難しいケースも考え得ることから、早急に見直しの検討を開始し、見直すこと。」との附帯決議がなされた。
 たしかに、判断基準には「外出すると戻れない」「薬の内服に介助が必要」といった項目があり、これらは子どもには適さない設問と言える。

 これを受けて厚生労働省は、令和6年12月に「介護休業制度等における『常時介護を必要とする状態に関する判断基準』の見直しに関する研究会」を立ち上げ、当該基準について見直しのための検討を行うこととした。

 そもそも、「介護」と聞くと、つい高齢者を介護するケースをイメージしがちだが、介護休業等の対象家族には、父母・祖父母・配偶者の父母ばかりでなく、配偶者や子・孫も含まれている。
 先入観での判断は禁物だ。


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